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鳶色の瞳が見つめるモノは ページ3

No side


Aは何時もより少し早い速度で歩いていた。
それは、ほぼ駆け足と云っても良い程に。

そんなに急ぐのは何故?
その答えは簡単、遅刻寸前だからだ。


『やばいやばいやばいやばい。国木田ママに鉄拳制裁される…っ!』


因みに、鉄拳制裁とは拳骨の事である。

彼女は昨日も太宰の所為で遅刻をして、こっぴどく叱られた(理不尽)処なのである。



そして 不運とは続くものだ。



「……ん?」

ふと 横を流れる川を見れば、岸に何かが蹲っている。
人間だろうか。

急がなければならないのは山々だが、探偵社員……いや、一人の人間として
見ぬ振りをする事は出来なかった。


足を滑らせぬ様にゆっくりと降りていく。



近付き そっと声を掛ける。


『大丈夫、ですか?』


蹲って居たのは一人の女性。
色素の薄い髪に 真っ赤なワンピィス、そして 病的な迄に白い肌。

ぶつぶつと 何かを繰り返し呟いているその姿は、異常とも汲み取れる。



『あ、あの…』


再度声を掛けても その俯いた顔が上げられる事は無い。
痺れを切らしたAが屈んで顔を覗き込むと、ゾッと 体に悪寒が走った。

暗く濁った瞳は 彼女を写したまま 微動だにせず
唯 ずっとAを見つめている。


そこで、気付いた。
"此奴"は 声を掛けては、近付いてはいけないモノだったと。

けれど、時は既に遅し。


女性の細い腕がAの腕を掴む。
その細腕からは想像も出来ないような力で掴まれ、振り払う事も出来なかった。


『ッ……───』


女性の躯は霧散し、Aはゆらりと立ち上がる。
その瞳は 消えた"ソノモノ"と同じ様に、暗く濁っていた。

*→←メイド服は正義?



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月華(プロフ) - 月瀬さん、お久しぶりです!更新の事は気にせず、ゆっくりと休んでください!大好きな月瀬さんのお体と心方が、凄く大事ですから! (2020年1月27日 12時) (レス) id: 158c59c866 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 沙世さん» リクエストありがとうございます!ぜひ書かせていただきます! (2020年1月10日 0時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
沙世(プロフ) - 乱歩さんと特大パフェを食べる話が読みたいです。リクエスト失礼します。 (2020年1月9日 23時) (レス) id: c4b11a12c3 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - るをさん» 了解です! (2020年1月8日 12時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
るを - 月瀬さん» できれば中原さんの反応も見たいです。できればなので書かなくても大丈夫です。他はとくにないです。 (2020年1月8日 12時) (レス) id: 2605d8b47c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まふ | 作成日時:2019年11月1日 17時

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