【 まふまふ 】ほっとみるく【 歌い手 】

はち。 ページ9

「お前今日トイレ近くね？」
「うるさいです」
「A帰っちゃった」
「え、そうなんですか!?」


(良かった…)

安心している僕は、
最低だろうか。

口に出さなければ、
まぁ…別にいいかなあ。

そらるさんは、
少しだけ悲しい顔をした。

彼は、
あんまり思いを顔に出さないけど
最近はよく一緒に居るから
なんとなくだけど、分かるようになった。


「っていうか、お前なんか冷たくない？」
「へっ？」
「Aへの態度」


(あちゃ……)

さすが、とでも言っておこうか。

まさか、
それもばれてるなんて。

そらるさんは、
本当に人のことをよく見てる。

そういうところも、
彼の良いところなのかもしれない。


「そんなことないですよ〜」
「そうかな、なんか俺に対するのより冷たくない？」
「気のせいですって」
「お前がそういうなら、そうかな」


そう笑ってみせると、
彼は納得したのか、目の前の服を見る。

Aさん、
本当にごめんね。

僕が今日ここに居なかったら
今頃二人でデートかな。

でもまあ、
明日出掛けるって言うし。


「お、これいいじゃん」
「本当だ、 あ…白と黒ありますよ」
「お揃い買うか」
「はい！」


そういうの、
なんか親友みたいで嬉しいです。

お揃いとか、
なんかカップルみたいだけど
別にいいよね、男同士だし。


「あ、そうだ明日午前中打ち合わせなんだけどさ」
「え、Aさんとお出掛けは？」
「それは午後ー」
「そうなんですね」


打ち合わせ、
そらるさんは本当によくライブに呼ばれるなあ。

歌上手だもんな、
そういう面も、本当に尊敬する。

僕は明日、一日作曲かな。

別に急ぎじゃないけど。


「会計行こうぜー」
「そうですね」


今日は帰ったらすぐ寝よう。

きゅう。→←なな。

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