【まふまふ】ほっとみるく【歌い手】 (ページ12)

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じゅういち。ページ12

自分でしていることに気付き、
彼女にばれないように、すぐに部屋を出た。

つもり、だったけど。

「まふ、くん」
「へっ…」

マスクを戻して、
ドアノブに手を掛けたところで
Aさんに手首を掴まれる。

どうしよう、
いや、でも平然を装えばいいんだ。

いつも通りの僕でいればいいんだ。

「あ、あの…調子は？大丈夫…？」
「…うん、大丈夫」
「あ、そ、そっかなら良かった」

なんて、いつものように
笑顔を貼り付けるも、手汗が半端ない。

「あのさ、まふくん」
「ご、ごめん…もう行かなくちゃ」
「え…ちょっとっ」
「お大事に…!!」

ドアをぱたん、と閉めて
廊下をきびきびと歩く。

小さな声でお邪魔しました、
なんて言って、すぐに外に出た。

どうしよう。

どうしよう、
本当に僕、何やっちゃってるんだ。

キス、

キスなんて、
そらるさんにばれたらどうしよう。

ああ、
きっと縁を切られる。

Aさん、
お願いだから言わないで。

後悔の波が押し寄せて、
その場でうずくまった。

「はぁああ………」

深く溜め息をついて、
マスクが息苦しくて顎まで下ろした。

ごめんなさい、ごめんなさい。

ごめんなさい、
許してくれるわけ、ないよね。