通訳さん

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「…四ノ宮さんってさぁ！」



















…ほんまは、しげと付き合ってるん？



















「…やのに、告白手伝って。
うちらのこと、笑ってんのやろ！？」









…ドンっ!!









キラキラ女子に、









トイレに連れ込まれた。









ほんで、怒鳴りちらされたかと思えば、









汚い地べたに押され、









頭からは、水。









こんなことは、









正直、１回どころじゃない。









まぁ、水かけられんのは異例やけど、









文句というか、怒られるというか、









そんなんは、よくあることやった。









違うよ、そんなわけないやん。









そう、何度も言った。









今回やって、そう。









「…わ、私が、大毅の彼女なわけ、ないやんっ、」









そしたら、

大毅、って呼んでることが癪に障ったみたい。









めちゃくちゃ、怒ってた。









同学年の違うクラスの子。









美人で、

街中ではスナップ写真をよく撮られるとか。









「…しげに、告白したくてさぁっ、
Aちゃん、協力してくれるっ？」









そう言われた、つい数日前は、









手を握って、

キラキラした目で私を見つめてたのに、









そんな子が、一変した。









「…っ、」









ポタポタと、黒い髪から水がしたたる。









制服も濡れて、









このブレザーなんか、

乾くのに何時間かかるんやろ。









そんなことのんきに考えながら、

その場で、立ち上がる。









汚いスカートを手ではたいた。









私が、こうなってしまったのは、









もちろん、大毅のせいじゃない。









そして、私は、









キラキラ女子のせいでもないと思う。









だって、人を好きになるのは、

人として、当たり前やから。









私だって、そうなわけやし。









それに、その好きな人の隣に、

違う人がいたら、









気にくわなくなるのも当たり前。









じゃあ、誰が？









そう…私。









私が悪いんや。









通訳なんかを受けるから。









今、こんな寒い思いをしてるんや。









「…はぁ、」









教室にもどった。









みんなが私を見て笑ってる。



















もうやめよ。









通訳さんなんて。









それさえも、したらアカンのや。









私なんか。





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