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大毅は、ちっちゃいころから鈍感だ。
音のない世界に生きるから、
周りの気配に鈍感なのは仕方ないけど、
なぜか、
周りの空気や、人の気持ちにまで鈍感。
実は気づいてんのかな。
いやいや、そんなわけないよ。
今だって、
大毅が、いろんなひとに、
お疲れさま、と手を振られてるから、
私は、わざとその3歩後ろぐらいを、
離れて歩いてるのに、
『…遅い! もっとしっかり歩け!笑』
私にしかわからない言葉でそう言い、
さらには、普通に手首とか掴んでくるし。
周りの視線が怖い。
お前ごときが、しげの近くになんでおるねん。
聞こえてこないのに、聞こえてきてる気がする。
ってか、大毅、彼女おらんの!?
あんなに告白されてたら、おるでしょ、絶対。
それさえもわからんくらい、
大毅とは、ここ最近、
まともにしゃべってなかったのに、
突然、目があったかと思えば、こうやねんもん。
ますます、彼がわからなくなる。
腕を引っ張られたまま、
私は、思わず、下を向いた。
黒くて長い髪が、顔を隠す。
余計に暗く見えてるに違いない。
いやや。
こうなってることは、嬉しいくせに、
ただただ、辛い。
「…わぁっ、」
そのまま、学校を出て、
引きずられるように、家の前まで着いた。
家は、とある住宅街の隣同士。
昔から、そのちょうど間くらいで、
遊んだり、お話ししたり、待ち合わせしたり。
そこで、大毅は立ち止まった。
突然、立ち止まったら、びっくりするやん。
私の手をゆっくり離して、
彼は、にこっ、と笑いかける。
あかん、直視できへん。
顔が熱い。
ってか、背伸びた?
変な距離感に、変な間が、
私の心拍数を上昇させてた。
『…また、明日!』
たっぷり、間が空いた後、
ひらりと、そう言った、男らしくなった手。
そして、大毅は、家の中に入っていった。
…私は、ポツンと、残された。
風の音がする。
何がしたかったのか。
もう、ほんまにわからん。
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のこのこ - しげかっこよすぎてやばいです! (2019年2月9日 1時) (レス) id: d9bf996457 (このIDを非表示/違反報告)
恋夏 - 最高!!2人が結ばれて本当に良かった (2018年7月15日 13時) (レス) id: bda6d95fa7 (このIDを非表示/違反報告)
こっこ(プロフ) - 大大大好きな作品だったのでAfterすごく嬉しかったです。素敵な作品をありがとうございました。もっとこのふたりを見たいのでまた続編期待してます!! (2017年6月13日 13時) (レス) id: cbfa499980 (このIDを非表示/違反報告)
すぴん(プロフ) - Afterまであって嬉しいです!重岡くんと主人公ちゃんにほっこりしました。 (2017年6月13日 0時) (レス) id: f7fd1c07dc (このIDを非表示/違反報告)
すぴん(プロフ) - 前に途中まで読んでいたのを思い出しました。大毅くんは優しくて思いやりがあって素敵ですね。幼馴染の2人の関係性に微笑ましさも感じました。好きな作品です! (2017年1月18日 1時) (レス) id: f7fd1c07dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年8月27日 18時