Eleventh. ページ11
「っ〜〜〜!この変態がぁ!!!!」
「痛ってェ____っ!!!!
何しやがんだクソ女!!!!」
「それは私の台詞よ!寝込みを襲うとは卑劣極まりないわ!!恥を知りなさい!!!!」
「誰が襲うか!!!!俺は立原の代わり……に……」
「?なによ」
中也が口を開けたまま、目を見開く。
先程まで閉じられていた緋い目と自分の青い目が合い、中也はやっと、Aが目覚めたのだと理解した。
「っ〜!いつまで寝てんだこの馬鹿!」
「いっ?!貴方、女を殴るってどんな神経してるの?!」
「心配かけたんだそれくらい許せ!力抜いてやったろうが!」
「……え、心配?貴方、私の事心配してたの?」
「あ、____べ、別にしてねェ!」
「どっちなのよ」
疑わしい目で中也を見るAに、顔を真っ赤にして否定する中也。
変わらないやり取りに、何処か安心している事にまた恥ずかしくなった。
赤ら顔を冷ますように資料で自分を扇ぎながら、中也は先程までとは違う、真剣な表情を浮かべた。
目覚めたら聞こうと思っていた事が山ほどあるのだ。
「手前ェ、なんであの日すぶ濡れで転がせられてた?嘘はつくなよ?全部言え」
「……言う筋合いがない。これは私の問題よ。他人の干渉はいらない」
「拒否権は無ェよ。こっちで調べもそこそこついてる。俺が聞きてェのはあの日の事だけだ」
「っ…勝手に、調べたの?」
その刹那、Aは中也の襟を掴んだ。
初めて見る明らかな激昂だった。
緋い目の奥は燃えるように赤みを増し、鋭く睨む視線は一点、中也の目を見つめている。
力の篭る腕に、中也は驚いた。
その手が、微かに震えている事にも。
中也は襟首を掴むAの両手を掴み、引き離すとそのまま言葉を繋げた。
「何をそんなに怒る?不味い事でもあんのか」
「当たり前でしょ!プライバシーの侵害じゃない!」
「違うな。
手前ェは怖いんだ。他人が干渉する事で仕打ちが酷くなるのが。
____じゃあ質問を変えてやる」
口の端を上げた中也は、Aの目の前に1枚の紙切れを突き出した。
「“Scarlett”____これはどういう意味だ?」
「それっ……は………っ」
動揺。焦り。絶望。恐怖。
抑え込んでいた震えがAを纏った。
逃げようと離れる身体を引き、逃がすまいと中也は手を掴み続ける。
あんなにも強かった少女は、悲しいくらい怯えていた。
「頼む。教えてくれ。
俺は、自分のモノが傷つけられんのがこの世で1番許せねェんだ」
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一華 顕音(プロフ) - GALAXYさん» コメントありがとうございます!番外編が完成しましたので、良ければ呼んでください! (2016年8月10日 21時) (レス) id: f13dd29270 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷるぱい猫系女子 - 此奴等が可愛すぎて大声上げて発狂しそうです (2016年8月6日 20時) (レス) id: 26e00e8d74 (このIDを非表示/違反報告)
華京院アリス - お久しぶりです。立原がいいぐあいに出てきますね!夢小説であんまり出てこないので新鮮です。あと、中也がだんだん惹かれていく感じがまたたまりません!改めて中也好きだなと思いました。文ストのなかで一番いい話ですよ!これからも更新頑張ってください!待ってます (2016年8月1日 15時) (レス) id: 0f9149ddd8 (このIDを非表示/違反報告)
蘭 - あぁぁぁぁぁぁぉぁあ!(歓喜)どっちも応援したい! (2016年8月1日 10時) (レス) id: 53c8339ac2 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - ああああ(((立原君に頑張ってほしいけど…やっぱへたれちゃんな中也君に頑張ってほしいです!!!! (2016年8月1日 9時) (レス) id: eef97769f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一華 顕音 | 作成日時:2016年7月10日 23時