I wanna be a hero.【２nd】

2nd - four ページ6

彩ｓｉｄｅ

『お父さん。私決めたよ。』

お父さんは驚いて私を見る。

無理もないか。こんなにも早く、即決したんだから。

「・・・もう少し、考えなくてもいいのかい？もちろん、あとから決め直すのもいいけれど。」

『うん。』

以前の私なら、どの道が最善か、考えに考えて、

周りの意見を聞いたりもして、慎重に決めてたと思う。

でも。

『お父さんが私のやりたいことを応援してくれているのを、私はちゃんと感じてるから。

もちろん、お父さんたちと離れるのはすごく不安だけど、でも今は、頼れる人がいるから。

だから、信じてみたい。この道を選んだ私自身を。どこまでいけるかやってみたいの。』

私はずっと、自分には価値がないと思ってた。

でも、歌い手という存在を知って、

あの日、まふまふさんが差し出してくれた手をとって、

Ester として活動を始めて。

ほんの少しだけど、自分の価値が見えたような気がするの。

そして何より、あのライブの日に見つけた夢を。

誰かの生きる希望になりたいというあの夢を、叶えたい。

私の真剣さを理解してくれたのか、お父さんは静かに頷いた。

「分かった。少し驚いたし、親としては心配だけどね。

住むところとか、これから一緒に決めていこうか。」

お父さんの言葉に、私は微笑んだ。

『ありがとう！』

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