I wanna be a hero.

twenty - six ページ28

彩ｓｉｄｅ(中２)

”見抜かれた”

まふまふさんに、話がしたいと言われたとき、

瞬時にそう思った。

確かに、ＫＺのみんなには見抜かれた。

でも、それは予想してたこと。

家族ですら騙せたんだから、初対面の人は尚更イケると思った。

現に、坂田さんは気づかなかった。

でも、この人は。

まふまふさんは違った。

ドリンクを取りに行こうとしていたのも忘れ、私は部屋に迎え入れた。

そこからは沈黙。

まぁ、当たり前、かな。初対面だし。

私はまずは、と口を開いた。

『えっと、自己紹介、まだでしたよね。私は、、、、、』

”立花”彩。

そう名乗ろうとしたが、寸前で言葉が詰まる。

今の私は立花と名乗っていいのだろうか。

家出をした身、しかも、帰りたくないと思っている。

「・・・？どうしたの？」

私は、迷った末、こう言った。

『彩、です。私の名前は、彩です、、、、』

少し、いや、かなり、ぎこちなかっただろうか。

まふまふさんは少し固まるが、何かを悟ったように、追求はしなかった。

「彩ちゃん、ね。高校生、、、いや、中学生かな？」

高校生かと問われるのは少なくなかった。

むしろ、中学生と言うと、大人びている、と驚かれるくらい。

でも、何故だろう。

まふまふさんは中学生、と言った。

私は少し笑って、「はい。」と答えた。

「よろしくね、彩ちゃん。」

まふまふさんは優しく微笑んだ。

何故かは分からない。

でも、その笑顔を見たことで、私の中の、何かの糸が緩んだ気がした。

「僕は相川真冬。さっきも言ったけど、歌い手のまふまふです。」

本名は内緒にしてね、とまふまふ、、、相川さんは言う。

『、、、それで、話、というのは・・・？』

恐る恐る聞くと、相川さんは深呼吸をした。

「単刀直入に聞くね、、、、、何かあった、の・・・・？」

私は目を見開き、硬直した。

予測はしてた。

でも、こうも直球で聞かれると、やはり動揺してしまう。

『、、、、、な、んで、、、、』

思わず本音が漏れた。

ＫＺのみんなやお兄ちゃんだって追求しなかった。

家族、、、お父さんや奈子だって気づかなかった。

それなのに。

初対面の、それも、憧れの私のヒーローに、問われてる。

私は、落ち着け、と、自分に暗示をかけた。

ちらりと相川さんを見ると、その瞳はまっすぐで、私の胸に刺さる。

まっすぐ過ぎて、目をそらしてしまうほどに。

すると、相川さんが笑った気配がした。

「大丈夫、だよ・・・・・泣くことは悪いことじゃない。」



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿”全部吐き出していいよ”

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