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twenty - one ページ23

彩side(中2)

「っ、お母さんは、私のことが嫌い、なの・・・?」

しばしの沈黙。

そして、お母さんは勝ち誇ったような笑みを消し、口を開いた。

「何を今更。そうに決まってるじゃない。
奈子のように可愛くもなければ、裕樹のように成績優秀でも、運動ができるわけでもない。
何も持っていないあなたは、お荷物以外、何者でもないわよ。」

お母さんは冷たく言い放った。

頭が、耳が、心臓が、痛い。

気にすること無く、お母さんは続ける。

まるで、今まで言えずに苦しんできたのを、やっと言える、という風に。

「裕樹が生まれて、あの子がルックスも頭も運動も、
全てが素晴らしいと、気がつくのは時間がかからなかったわ。

だから、あなたがお腹にできたと知ったとき、
もちろん、次の子もそうだと、期待で胸がいっぱいだった。なのに。」

私を睨み、大きく息を吐いた。

「なのに、これ(・・)よ。
小さい頃はね、みんな可愛いから。まだ良かった。
でも、大きくなってみれば、あなたは地味だし、成績もパットしないし、運動もそこそこ。
ほんと、がっかりよ。」

「それで?少しはマシにしてあげようと、お金をかけて参考書を買ってあげれば、
やりたくないだの、夢がどうこう、少しも感謝しない。
そんな子を、愛せるわけがないじゃないの。」

お母さんは、ドサドサっと、私の目の前に参考書の山を下ろした。

「分かったら、これをやりなさい。終わるまで食事は抜きだから。」

何事もなかったかのように、いや、すっきりしたように、お母さんはリビングに入っていった。

『・・・・・・っ、、、、』

私はその場に崩れ落ちた。

泣き声を押し殺しながら。

・・・やっぱり、そうだったんだ。

思ったとおりだった、全部。認めたく、なかったのに。

しばらくしても、階段を上がる音がしないのを不審に思ったのか、

お母さんが顔をしかめて、リビングから顔を出した。

「彩っ!まだそこにいるの!?早く、部屋に戻ってやりなさい!!彩!!!」

瞬間、私のなかで、何かが切れた。

私は振り返ること無く、家を飛び出し、自転車を走らせた。

どこに行くわけでもなく、ただ、もう、あの場所から離れたかった。

お母さんから。

いや、あの人の思いを聞いた今、もう、母親と呼べないか。

1時間ほど走らせただろうか。

私は、いつのまにか隣町にまで来ていた。

そして、目の前にあったカラオケに入った。

・・・今日はもう、帰りたくない。

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MadCat(プロフ) - ききょうさん» ありがとうございます!実はつい最近、再開したばかりでwこれからもがんばります!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 635a11a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
ききょう(プロフ) - MadCatさん、初めまして。突然ごめんなさい、ききょうと申します!語彙が繊細でとっても素敵なお話ですね…!とても楽しませて頂いております!笑 長々とすみませんでした…これからも更新頑張ってください!応援してます!!長文失礼しました。 (2020年9月10日 17時) (レス) id: 41db9f3d9e (このIDを非表示/違反報告)
25253 - 更新頑張ってくださいね! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 130d6e5757 (このIDを非表示/違反報告)
MadCat(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!更新ペース、定まりませんが、頑張ります!!! (2019年10月6日 18時) (レス) id: 36fa550942 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - このお話とっても好きです!頑張ってください!!!応援してます! (2019年10月6日 17時) (レス) id: 69c985532c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MadCat | 作成日時:2019年9月17日 14時

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