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十九。 ページ22

そして太宰の方は、マフィア加入した途端、いきなり部隊の指揮を任されていた。

最初は、戸惑いを感じていた構成員達だったが、流石はプロ。
任務が開始してからは、機械の様な、無表情で慈悲の一片も持ち合わせない者となっていた。

因みに瑞香の方は、其の翌日に部隊指揮の任務があったが、其の日は作戦説明のみだった。

瑞香は、太宰達の後に着いて行き、林立する斜面へと向かう。
そして、太宰達が去った後から、木の蔭からひょっこりと姿を現した。

「こんにちは」

瑞香は、其の人の前に出る。
其の人は、驚いた様に目を見開き、警戒する。
しかし、刺された傷によって、とても苦しそうである。

「誰だ、手前ェ……」

其の人から、汗がポタリと落ちる。

「ポートマフィアの者。確か……中原中也、だった?」

「……何しに来た?」

名前を呼ばれ、其の人__中原は、瑞香を警戒する様に睨む。
しかし、瑞香は動じずに中原に向け、一歩踏み出した。

「何って、決まってる__」

そう云って、コートしたの腰に、瑞香は手を回す。
そして、勢い佳く物を取り出す。

「……包帯?」

其の物とは、包帯であった。

「そう。手当て、しに来た」

瑞香は中原の肩を掴み、木に凭れかけさせる。

中原は尚も、警戒した様子で瑞香を見ていたが、其の視線には呆れも混じっていた。

其の視線に気付いてか、瑞香は話し始める。

「中原は、仲間になった。だから、手当てをしに来た。……と云う訳で、上の服を脱いで」

「はァ!?ッ」

大声を出した所為で、傷が痛んだ様だ。
瑞香は「じっとしてて」と云った。

「服を着た儘だと、手当てが出来ない」

「別にしなくて」

「佳くないから。ほら、早く」

瑞香に急かされ、中原は渋々と云った様子で、ライダースーツを脱ぎ、シャツを捲る。

中原が「此れで佳いか?」と訊くと、瑞香は慣れた手付きで手当てをし始めた。

森の手伝いをしていたお蔭か、手当ては直ぐに終わった。
短刀で刺されていた為、最後は傷を縫い合わせて終えた。

「麻酔無かったけど、大丈夫?」

「あァ」

中原は其れだけ答えると、ライダースーツを再び着用する。

「……そう云えば、名前は?」

「嗚呼……瑞香。瑞香A。齢15だから、間違えないで」

「其の見た目でか?」

「異能力の所為なだけ」

瑞香がそう云うと、中原は納得した様に首肯いた。

そして、瑞香は中原に手を差し出す。

「宜しく、中原」

「……あァ、宜しく」

そして二人は握手したのだった。

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作者名:日之静海 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月13日 21時

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