死ねない君と＿＿。【文スト】【太宰治】 (ページ19)

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十六。ページ19

「Aちゃん」

「……ん～？」

本から目を離さず、森の呼び掛けに答える瑞香。
森は先刻とは一変。
身なりの整った服装をしていた。

「此れからマフィア本部に戻るけど、一緒に行く？」

「……ん～」

瑞香は本から目を離さない儘、悩む様に唸る。
聞いているのかいないのか、微妙な所だ。

「……行かない」

「そう」

瑞香の返答を聞くと、森は扉に近付く。
ドアノブに手を掛けた時、森は振り返って、瑞香を見た。

「Aちゃんは、マフィアに入る気は無いのかい？」

森がそう訊くと、瑞香は顔を上げて森を見た。
森は読めない笑みを浮かべている。
瑞香もまた、何時も通りの、読めない無表情だ。

「リンタロウが今、手古摺っている問題が解決したら、ね」

そして、瑞香は珍しく笑った。
何もかも見透かした様な笑みだ。

そして森は、其の儘部屋を出て行った。

一人残された部屋で、瑞香は独り静かに本を読んでいたのだった。

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特に、此れといった伏線はないです。
特典小説中の、Aちゃんの行動を書きたかっただけ。

短くて御免なさい。