死ねない君と＿＿。【文スト】【太宰治】 (ページ17)

今日:7 hit、昨日:16 hit、合計:37,916 hit

十四。ページ17

太宰と森が会話をしている間も、瑞香は気にも止めずに本を読んでいた。

＊＊＊

因みに、瑞香は森と出逢ってから一年。
身長が約116㎝から約133cmまで伸びた。
普通ならば、有り得ない伸び具合だ。

しかし、今までは異能によって成長できなかった身。
異能力と謂うストッパーで押さえつけられていた成長が、太宰によってストッパーを外され、反動で一気に伸びたのだろう。

当然、嘗ての服は着られなくなった。
現在の服は、森に新しく貰ったものだ。

白いワイシャツに、黒い紐の蝶々結び。
そして紺色の膝丈スカートを履き、腰の部分には、ショートケープで使っていた紅のブローチがある。
靴は変わらず、メリー・ジェーンだった。

そして右目には、太宰と同じ様に包帯を巻いていた。
此れは、此の一年の間で着けたものだ。
服に隠れて見えないが、他の部位にも包帯が巻かれている。

包帯の理由は、至極単純。
太宰と共に自殺を＿＿謂わば、心中を試みた為に出来たから出来ただけだ。

太宰が死にたがっている様に、瑞香もまた、死にたがり。
けれど瑞香は、異能力の所為で死ねない。
太宰が触れている間は、異能力も無効化され、瑞香も死のうと思えば死ねる。

しかし、結局の所、瑞香の祈願は達成されていない。
其れは、森が太宰と瑞香の心中を阻止し続けたからだ。

太宰よりも瑞香の阻止の方が簡単だ。
なんたって、太宰から離すだけで阻止できるのだから。
太宰の方は、唯の慣れである。

そんな訳で、怪我だけが増え続けるのだった。