銀狼【銀魂】21

第九百五十七訓 態度はTPOを弁えて使い分けるべし【銀狼篇11】 ページ26

近藤「総悟！！」


近藤の声で、我に帰る。

手には刀の柄が握られていて、今まさにその刀身を抜き放たんとしていた。


クスクスと楽しげに笑いながら、杉浦が言う。


杉浦「よく我慢しましたねェ沖田隊長。今の俺は、この医者の体を借りている。もし俺を斬っちゃったら、お医者さんが死んじゃいますね☆あはっ」

沖田「っっ…てめェッ…！！」

杉浦「そんな怒らないでくださいよォ〜」


あっはっはっはっはっ、と殺気に満ちた空間に、杉浦の呑気な笑い声が響く。

それを恨めしそうに聞きながら、沖田は刀から手を離した。


杉浦「さて、現在入院している霧島Aちゃんですけど…何やらヤバイ状況みたいですね〜」

土方「すっとぼけやがって。どうせテメーが仕掛けたことだろ」

杉浦「あはっ、バレちゃいました？ま、正解なんですけどね。さっすが土方さん！」


チッ、と舌打ちを返され、杉浦は再び話し始める。


杉浦「そうですよ。今回も辻斬りの件も、みーんな俺が仕組みました。理由ですか？そんなの簡単ですよ。前に言ったでしょ？俺は、霧島Aを壊すって。その時が今なんですよ」

土方「いまいち要領を得ねェな。もっとわかりやすく説明しろ」

杉浦「はーい」


能天気な返事に、土方は再び舌打ちする。

コホンと一つ咳払いをしてから、杉浦は語り出した。


杉浦「皆さん気づいてないんですか？最近あの娘がおかしいことに。あの娘の目が、虚ろになる瞬間があることに。それこそ、俺がずっと待っていた瞬間なんですよ。霧島Aは、“銀狼”に目覚め始めている」


話しながら、部屋にあるベッドに腰かける。


杉浦「今までだって貴方達は、その片鱗を見てきたはずだ。エネルギー砲をぶった斬ったり、ヘリコプターだって一刀両断。こんなの人間ができる技じゃないです。俺はピンときましたね…霧島Aは、近い内に覚醒すると」

銀時「……」

時雪「“銀狼”に覚醒したら…Aは一体、どうなるんですか」


時雪が震える声で尋ね、それに杉浦が答えた。


杉浦「…全てを殺すまで、止まらない。視界に映るもの、無機物から生命に至るまで、何もかもを壊すまで、永遠に戦い続ける」

時雪「！！」

杉浦「もし今、Aが銀狼に目覚めたら…まぁまずは江戸の街が廃墟になりますかね。かぶき町も城も、ターミナルもぜーんぶぶっ壊して、人も街も跡形も残らないくらいに」

神楽「そんなこと、Aちゃんがするはずないアル！！」


反論したのは、神楽だった。

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