銀狼【銀魂】21

第九百五十六訓 後悔先に立たず【銀狼篇10】 ページ25

医者？「あら、怒ってるんですか？一つ言わせてもらいますけど、君達がすべきことは俺に突っかかることじゃない。早く『白夜』を見つけて霧島Aを助けることでしょう？今やるべきことを見誤っては、大切なものを失いますよ」

神楽「お前ッ…！！」

時雪「待って神楽ちゃん！！」


殴ろうと神楽が拳を振り上げた瞬間、制止したのは時雪だった。

神楽の手を放し、医者をキッと睨みつける。


時雪「貴方、先程まで俺達と話していたお医者さんじゃありません。そうですよね？」

医者？「…………」

新八「えっ？」

神楽「本当アルか、トッキー？」


背後で新八と神楽が彼に問うと、時雪はこちらを振り返らずに頷いた。


時雪「うん。さっきと全然別人なんだ。前に八雲さんが見せてくれたことがあるんだけど…もしかして、他の誰かが憑依してるのかもしれない」

新八「ひ、憑依！？そんなことできるんですか八雲さん！どっちかっていうとそっちに驚きなんですけど！」


トンデモ情報がブッ込まれたが、八雲が人間に憑依できる云々は今回の話にはそこまで重要でないので、一旦放置する。

医者は時雪の言葉に黙っていたが、不意に爽やかに微笑み、彼に拍手を送った。


医者？「いやはや、流石は茂野時雪くん！まさかものの数分で俺が憑依したと見破るとは！銀狼の彼氏であることはあるね」

時雪「その態度…見覚えがあります。貴方もしかして…」

医者？「ピンポーン、大ー正ー解！！お見事〜！」


ぱちぱちぱちー！と愉しげに拍手をする男は、歪んだ笑顔で銀時達を見やる。

ここにいる全員から敵意を向けられているにも関わらず、おちゃらけた態度を取り続ける彼は、仰々しく腕を振り、挨拶をした。


医者？「お久しぶりです皆さん。忘れてしまった読者の皆さんのために、改めて自己紹介しますね。









ーー俺の名前は杉浦大輔。好きなものはレタスです。どーぞよろしくお願いしまーっす♪」

時雪「！！」

沖田「……！」


にこ、と笑んだ医者ーーいや、医者に憑依した杉浦が、ヒラヒラと手を振った。

新八や神楽がゴクリと生唾を飲む。

その中で、沖田が普段のポーカーフェイスに似合わない、怒りの形相を浮かべていた。


それと同時に、自責の念に駆られる。

伊東の起こしたあの事件の際、杉浦は今と同じく目の前にいた。


ああ、何故。何故あの時自分はーーこの男を、殺さなかったのか！

殺していれば、Aはこんな事にはならなかったのに！

第九百五十七訓 態度はTPOを弁えて使い分けるべし【銀狼篇11】→←第九百五十五訓 科学的な事なんてよくわからないけどなんかそれっぽい言葉並べてたら取り敢えずカッコよく聞こえる【銀狼篇9】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す