銀狼【銀魂】21

第九百五十五訓 科学的な事なんてよくわからないけどなんかそれっぽい言葉並べてたら取り敢えずカッコよく聞こえる【銀狼篇9】 ページ24

医者「検査をしたところ、掌の切り傷から毒が侵入しているのがわかりました。

おそらくこれは、攘夷戦争時代に開発された毒薬・『黒曜石』によるものですね」

新八「黒曜石？」


医者は頷き、続ける。


医者「『黒曜石』は一度体内に入ると、その肌を黒く染めていき、体の中を侵食していきます。

黒くなった箇所はまるで石のように動かなくなり、最終的には全身が固まり死亡…その死に様がまるで黒曜石で作られた人形のようであることから、そう呼ばれています。

あまりにも危険なため、薬は攘夷戦争終結後、資料も全て破棄され、現在は誰も作ることはできないとされていたのですが…」

沖田「…噂にゃ聞いたことはありやしたが…まさかまだ残っていたとはねィ」


かつて攘夷戦争に参加していた銀時も、噂で聞いた程度だった。

そもそもその『黒曜石』は実在すら怪しかった伝説の毒薬だ。
それがまさかこんな形で、しかもAが侵されるとは…

神楽が不安を隠せない眼で、医者に問う。


神楽「ねぇ、Aちゃん死なないヨネ？どうやったらAちゃん助かるアルか？」

医者「『黒曜石』の毒は、『白夜』という解毒剤ですぐに抜けます。ですが、『白夜』の調合は難しく、完成品が現在複数個残っている状態です。

タイムリミットは、24時間。その間に解毒剤を彼女に服用させなくては…正直に申しますと、彼女の命は助かりません」

時雪「そんな…！！」

銀時「その『白夜』ってのはどこにあるんだ？」


時雪が絶望に打ち震える隣で、すかさず銀時が尋ねる。

要はその『白夜』があれば万事解決するのだ。
それさえあれば、彼女は救われて、またいつも通りの日常に帰れる。

医者は答えようと口を開いたが、次の瞬間、ふと彼の目からハイライトが消えた。

その変化に、銀時や真選組メンバーが鋭く反応する。


近藤「オイ、どうした？」


近藤が一応警戒しながら、それ以降押し黙ってしまった医者の肩に手を伸ばす。

すると、医者は突如口角を上げた。


くつくつと怪しげな笑みを刻み、銀時達を見る。


医者？「どこにもありませんよ…あったとしても、あんたらにそんな簡単に渡せません。何せ、"俺"が苦労して手に入れた代物なんですから」

近藤「なっ…！？」

神楽「どういう意味ネ！！」


声を荒げて、神楽が医者の白衣の襟に掴みかかる。

しかし医者はそんな彼女の反応も愉快そうに笑って見つめるだけだ。

第九百五十六訓 後悔先に立たず【銀狼篇10】→←第九百五十四訓 「大丈夫」の呪文を唱え過ぎてはいけない【銀狼篇8】

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