第八百四十三訓 後先考えるよりパッと行動した方が上手くいく ページ7
A「んで?そいつが何か動き出したワケか」
ミサト「…恐らく、な。狙いは何だか知らんが、六角事件をタネに何かしでかそうとしているらしい。内容は知らんがな」
A「!」
トシ兄ィと顔を見合わせる。
間違いない。この創界党の動向に、総兄ィは巻き込まれたのだ。
いや、巻き込まれたというべきではないか…
恐らく連中の目的は、創界党を壊滅させた総兄ィ並びに真選組への復讐。
そのためにまず総兄ィを襲った。
でも、総兄ィ自身は真選組最強と呼び声高い男。
そんな彼が、簡単に捕まるわけがない。
となると、六角事件の関係者…例えば遺族とかを人質に使ったとか…
自分の頭の中で可能性を展開し、切り捨てて真実を見出そうとしていた。
しかし。
A「っ〜〜〜〜…だーーーーっ!!くっそォォォォォォ!!何かわかりそうでわからないこの微妙な感じが腹立つ!!」
考えれば考えるほど泥沼にはまっていきそうだ。
あたしはガシガシと髪を掻きむしって叫んだ。
深い溜息と共に机に突っ伏し脱力するあたしを横目に、今度はトシ兄ィが尋ねる。
土方「とにかく、総悟が何を隠してるかは後でみっちり訊くとして…オイ風魔、創界党の居場所を教えろ」
ミサト「は?黙ってろ俺が話しているのはAだけだ。どこぞの馬の骨とも知れん奴が気安く俺に話しかけるな」
土方「こんの野郎ッ…!!」
ピキッと青筋を立てて、咥えていた煙草を噛み締める。
怒りの矛先を向けられているにも関わらず、ミサトさんは嘲笑を浮かべた。
何だろう…このゾクッとする程の寒気は…
顔を上げ、残っていたメロンソーダを飲み干して立ち上がる。
懐から財布を取り出し、三万円を机に置いた。
A「ありがとミサトさん。依頼料だ。今持ち合わせがないから、コレでお願いしたい。行こう、トシ兄ィ」
土方「オイA…?」
A「早く」
振り返ることもせず、ツカツカと歩き去る。
どこにいるのかわからないけど、何が起ころうとしてるのかもわからないけど。
早く総兄ィを助けなきゃ。
********
店の外に出たあたしは、トシ兄ィを乗せてスクーターを走らせていた。
空はすっかり暮れて、星が瞬いていた。
運転しているあたしに掴まって、後部座席に乗っていたトシ兄ィが、話しかけた。
土方「…A」
A「何?」
土方「何かわかったのか」
信号が赤に変わる。スクーターを止めたあたしは、前を向いたまま答えた。
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作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時