第八百七十九訓 一度怪しんだら大抵それが正しい【かぶき町四天王篇9】 ページ43
華陀「妙な格好をしているとはいえ、いずれも屈強な力を持った兵隊。次郎長一家の支配をはねのけ、今や独立した自治権を持った、オカマ帝国を築きつつあると」
西郷「何勝手なこと言ってんのよ!!私は行き場を失った連中に居場所を提供してやっただけで…」
華陀「だが次郎長一家の再三にわたるみかじめ要求をはねのけ、何度も連中とモメているのは事実であろう」
華陀の詮索に西郷は反論するが、次郎長一家とモメていたという話を持ち出され、何も言えなくなってしまう。
華陀は、今度はお登勢に矛先を向けた。
華陀「そしてお登勢」
お登勢「あたしゃそんなくだらない争いに興味はないし、参加した覚えもないよ」
華陀「興味はなくても、そちは昔からのこの街の顔役。住民達と密接に繋がり、色々と相談に乗り、世話を焼いていると聞く。
そのための駒が、万事屋なる怪しげな者達。相手が次郎長一家であろうとそこが誰のシマであろうとお構いなし。好き放題暴れ回っているらしいではないか」
お登勢「知らなかったよ、あたしにそんな便利な手駒がいたなんて。ついでにこの街が誰それのシマだなんだと勝手に区分けされてることもね。
この街は誰のもんでもありゃしない、何しようと勝手だろ。あたしもアイツもこの街で筋通して勝手に生きてる。ただそれだけさね」
華陀「…そちは相変わらずシンプルでわかりやすいのう。だが、それでは気に食わぬ者もおる。
そもそも我等はいつぞやから四天王などと呼ばれ、互いに牽制し合う仲になっておったか。始まりは一体何であったか」
かつて、ならず者の街を牛耳る一人の王がいた。
しかし、時が移る中で街には新しき三つの勢力が台頭し始め、さらに今"もう一つの無視できない勢力"が現れた。
王はこれが気に食わず、街を我が物にせんと争いが起こる。
やがて争いの中で三つの勢力も疑心暗鬼となり、互いを敵と認識し、争いは街全てを包む。
その隙に、新たに現れた"第五の勢力"が、街を乗っ取らんとその牙を向けたらーー街は、"その勢力"に奪われる。
華陀「……要はそういうことではないか?我等は敵対する必要などない…我等の敵は…次郎長と『獣衆』…そしてその棟梁、"銀狼"ではないか」
華陀がそう言い切ると、お登勢と西郷の表情が固まった。
『獣衆』とその棟梁、銀狼。つまり華陀は、Aを敵とみなしているのだ。
第八百八十訓 ヒーローも悪役も遅れてやってくる【かぶき町四天王篇10】→←第八百七十八訓 睨み合いは精神的に殺される可能性もあるから気をつけろ【かぶき町四天王篇8】
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時