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第八百七十二訓 無法の街に集うのは無法者【かぶき町四天王篇2】 ページ36

お瀧side


この日、ウチは朝からお登勢さんの店で掃除をしとった。


外の掃除をしていると、出勤してきた新八くんの悲鳴が轟く。

朝からはた迷惑な奴やなぁ…とあくびを嚙み殺しながらも箒を動かす手を止めない。

まだ朝晩は冷え込むこの時期、ウチも上着を羽織っていた。



それからしばらくして、いつものように銀時達が降りてくる。

普段のメンバーに加えて見覚えのない顔が一人いた。オレンジ色の髪をした、キレーな娘。


事情を聞いたところ、突然銀時の舎弟にしてほしいと頼んできたらしい。

娘は今朝出勤してきた新八くんをかちこみとして斬りかかり、一度事態を沈静化させ、今に至るという。


お登勢「誰だい、この娘?」


お登勢さんが尋ねると、娘は掌を上に向けて、所謂お控えなすってのポーズをとる。


「この度万事屋一家末弟に加わりました、椿平子ですぅ。お登勢の大親分も何卒よろしくお願い申し上げますぅ。

ごめんなさい、アニキの第一の舎弟(こぶん)とも知らずに失礼なマネを〜。今責任とって(エンコ)つめますからね〜。小指でいいですかァ〜。ウフフ〜」

銀時「オイ。何をしてんだテメーは」


刀を手に指を斬ろうとする彼女の括った前髪を、銀時が掴み持ち上げて振り回す。

平子は捥げると叫んどったが…


銀時「俺ァ極道者じゃねーし舎弟なんていねーしとるつもりもねーし用心棒なんて頼んだ覚えはねーし、さっさと帰れっつったしィィ!!このドチンピラ子がァ!!」

平子「え〜、そんなの勿体無いですよー。わしとアニキならきっと暗黒街のボスになれますよォ。一緒に暗黒面に堕ちましょうぜアニキ〜」

銀時「俺がいつダースベイダーになりたいっつったよ!」

平子「お願いします、わしはもう行く所がないんですぅ〜」

お瀧「…一体何なんやこの娘」


とんでもないチンピラ娘の登場に驚きを隠せない。

喋り方といい何といい、普通の娘とは考えられんがな…


ただ一つ思えるのは、この娘に銀時が何もしとらんことやな。

面識のない娘に手ェ出したいうなら、Aとの縁を即行で切らせるし。

ふと、隣に立っていたお登勢さんが口を開く。


お登勢「…アンタ、極道モンかい」

お瀧「え?」

お登勢「聞いたことがある。次郎長んトコと商売で色々とモメてた植木蜂一家。抗争となるや女だてらに一騎当千の働きを見せるとんでもない暴れん坊がいたって。

その名を、人斬りピラコ」

第八百七十三訓 照れ隠しは指摘すると仕返しが怖い【かぶき町四天王篇3】→←第八百七十一訓 かぶき町最強の男【かぶき町四天王篇1】



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作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時

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