第八百七十訓 小さな愛の日 ページ34
トッキーは掌の乗ったキャンディとあたしを見ていたが、ふと微笑んでキャンディを手に取る。
時雪「これ、本当に俺にくれるんだよね?」
A「?う、うん…」
時雪「すっごく嬉しい。ありがとう、A」
にこっと笑ってから、突如抱きついてきた。
…ファ!?
A「ト、トトト、トッキー!?」
何!?え!?いきなり何!?
アレ?トッキーってそんな飴好きだったっけ!?
いやそんなことないよね!
驚いて見上げるあたしに、トッキーは笑いかける。
時雪「Aはさ、バレンタインのお返しがあるって知ってるよね?」
A「え?うん、ホワイトデーでしょ?」
時雪「そう。でも、そのホワイトデーのお返しに意味があるのって知ってた?」
A「へ?」
ホワイトデーのお返し?
そんなのに意味なんてあるの?
キョトンとするあたしに、トッキーは続ける。
時雪「マシュマロは、"貴女が嫌い"。クッキーは、"貴女は友達"…っていう風にね」
A「へぇ〜、そうなんだ。でも、何でそれをいきなり?」
まだバレンタインなのに、何故いきなりホワイトデーの話をするのか。
それをダイレクトにトッキーに尋ねる。
時雪「だって、これホワイトデーのお返しでしょ?」
A「えっ!?」
キャンディを指さして、トッキーは笑う。
A「えっと…その」
どっちかっていうと、バレンタインのチョコの代わりなんだけどな…
時雪「それなら嬉しいなぁ、って思っただけ」
A「ど、どういうこと?」
トッキーはあたしを抱きしめたまま、耳元に口を寄せる。
そして、小さな声で囁いた。
時雪「キャンディはね…ーー"私も貴女が好きです"って意味なんだよ」
A「……」
…は…え……?
それ、って……
A「〜〜〜〜っ!?」
ボフッ!と耳まで一気に赤くなって、「ぇ、あ、…ぅぅ」と挙動不審になる。
恥ずかしくなって、顔を見ようとしてくるトッキーの胸に飛び込んだ。
時雪「ね、どうなの?」
A「…うるさい」
うがぁぁぁぁ恥ずかしいよォォォ…
ふふっと楽しげに笑うトッキーを睨んだ。
時雪「ごめんごめん」
A「ったく…」
あたしは貰ったカップケーキに口をつけた。
A「!美味しい!!」
時雪「そう?よかった」
トッキーがあたしの頭を撫でる。
あたしはそれに、満面の笑みを浮かべて返した。
第八百七十一訓 かぶき町最強の男【かぶき町四天王篇1】→←第八百六十九訓 愛し愛しきのバレンタイン
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時