第八百四十訓 あまり人に冷たくしすぎてもダメ ページ4
土方「そいつ…まだ来てたのか」
A「うん、なんか懐いちゃったみたいでさ。トシ兄ィ、名前つけてよ」
土方「知るか。お前の猫ならお前がつけろ」
A「あたしのネーミングセンスは壊滅的だから無理。あ、じゃあザキ兄ィお願い」
山崎「ええ!?」
あはは、すっごい戸惑ってる。面白いなぁ。
あたしは小猫の前足を合わせて、「お願い!」と頭を下げた。
ザキ兄ィは、何故か照れながら「うーん」と唸る。
しばらく考え込んだ後、ふと閃いたように目を見開いた。
山崎「『トト』でどうかな?」
A「なんか面白くない。却下」
山崎「ちょっとォォォォ!?」
うん、だってなんか面白くないんだもん。それ以上に理由なんかない。
ザキ兄ィは涙目になってあたしの肩を掴んで揺さぶる。
しかしあたしは兄譲りの、死んだ魚のような何も考えてない目をしてザキ兄ィを見つめた。
山崎「何でよ!!せっかく俺が一生懸命考えたのに!!」
A「あたし的になんか合わない。だから却下」
山崎「じゃあ最初からAちゃんが考えてよ!!何、俺に対する嫌がらせ!?」
なんかいつになくやさぐれてるね。ストレス溜まってんの?
流石に冷たくしすぎたか?と一瞬反省したが、まぁいっかとすぐにその反省をやめる。
土方「A、今のはお前が悪い。山崎がせっかく考えてくれたんだ。なのにあれはないだろう…」
A「そうかな?ねぇ、お前はトトがいい?」
猫を抱えて尋ねると、小猫はあたしを見つめて「みゃあ」と鳴き、甘えてきた。
ということはつまり、
A「それでいいってさ」
山崎「『それでいい』って何?それじゃなくても別にいいってこと?」
土方「山崎、もうやめろ」
何だよ細かい奴だなぁ。ネチネチ男は女に嫌われるよ。
仕方ない、今度ザキ兄ィの好きなあんぱんを買ってあげよう。
小猫改めトトは、一度下ろされるとあたしの膝に乗り、肩に乗った。
A「…で、さっきから何の話してたの?六角事件…とか言ってたよね」
山崎「そっか、Aちゃん二年前はいなかったもんね」
土方「ま…簡単に言やァ真選組と過激攘夷派組織『創界党』との争闘事件だよ」
A「へぇ…でも何で二年前の事件が今になって掘り返されたの?」
素朴な疑問を打ち出すと、「さァな」とトシ兄ィが肩を竦める。
腕を組んで考え込むと、あたしの携帯に電話がかかってきた。
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作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時