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第八百五十二訓 動物は優しく扱っても逆ギレされることもある ページ16

神楽「うわー、フワフワで可愛いアルヨ〜。銀ちゃん飼って!この子飼ってヨ!」

銀時「何言ってんだ。ウチは既に大食らいを二匹も飼ってんだよ。俺に首くくらせるつもりか」

神楽「元々餌代なんてバカにならなかったアルヨ。猫の一匹や二匹増えたところで変わらないアル」


ちょ、神楽放して!!死ぬ!!潰れる!!


あたしの体は夜兎族の神楽の腕力によって潰されそうになっていた。

普段の姿ならばそこまででもないのだが、いかんせんこの猫の体は弱すぎる。

ジタバタ暴れても、全くものともしない。ヤダ夜兎怖い。

その時、神楽に近づいた定春が、あたしの首根っこを甘噛みで持ち上げた。


定春「わんっ」

銀時「ホラ、定春もこれ以上ウチにペットはいらないって言ってるぜ。お前に浮気されて嫉妬して、今まさに猫を噛み砕こうとしてるぜ」


え"っ!?ちょ、嘘、ええっ!?


このままじゃ定春に殺される…?定春そんな残虐な子だったの!?

それじゃあもう二度と人間に戻れなくなるじゃねーか!!


ジタバタと足をバタつかせていると、定春はゆっくりと床に下ろしてくれた。


A『え…』

定春『気をつけなお嬢さん。嫌ならちゃんと言わねーと潰されちまうぜ』

A『あ…ありがとう定春』


定春が意外と硬派だった。

その事実にショックを受けつつも、礼を言った。

目の前の定春が、顔を近づけくんくんと鼻をひくつかせる。


定春『お前…どこかで嗅いだ匂いだな』

A『定春、あたしだよ!霧島A!朝起きたらいきなり猫になってたのー!!』

定春『何!?Aか!?』

A『そう!あー良かった!!ようやく話の通じる人に会えた…』


ひし、と定春に抱きつく。

ようやく理解者に会えて心底ホッとしていた。


神楽「見て銀ちゃん、定春と抱き合ってるネ。やっぱりウチに住みたいって言ってるヨ」

銀時「オイいい加減にしろよ。飼わねーっつってんだろ」


ええ〜、と残念がる神楽の声を耳が拾うが、今のあたしにとってはどうでもいい。

銀が米の乗った丼にあんこを大量にかけているくらいどうでもいい。


A『ねぇ定春、元に戻る方法知らない?』

定春『…すまねぇ。俺もそんな超常現象、聞いたことがないからわからねぇ』

A『やっぱそうか…』


深い溜息と共に、床にうつ伏せになる。

このまま戻らなかったらどうしよう。

さっきからずっと同じ不安が、頭の中をぐるぐる回る。

アレ…なんか涙出てきた。

第八百五十三訓 科学史はめちゃくちゃ面白い(確信)→←第八百五十一訓 猫の爪で引っ掻かれると痛い



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作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時

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