第八百三十八訓 黒犬の恋愛事情(笑) ページ2
沖田「刺されやした。親父の仇だって、六角屋の娘に」
お瀧「六角屋の娘!?……あぁ、せやったな。六角屋の主人、乱戦の最中凶刃に倒れたらしいなァ。その娘に?」
沖田「ええ。そう遺族にも伝えたはずなんですが…どーにもおかしいんでさァ。あの小娘、どこで俺を仇と知ったんだか。
なるほどなァ…
確かに手入れもよく行き届いている、使い古されたいい脇差。
一介の町人の娘が、廃刀令の御時世にこんないい刀を持っている方がおかしい。
沖田くんの勘は正しいと言えるやろうな。
これは、一つ情報提供しといた方がええな…
お瀧「…アンタに一つ、ええ情報を教えたるわ」
沖田「!」
お瀧「前に聞いたことがある。最近創界党を名乗る組織が、この辺に出没しとると」
沖田「!?」
ポーカーフェイスに僅かに驚愕の色が見えた。
脇差を納刀してから、沖田くんに投げ返す。
お瀧「まぁ、ウチもどこまで調べられるかわからへんが…またわかったら連絡するわ」
沖田「お願いしやす。あ。あと、この件は
また?あの時と同じく?
隠さんでもええと思うけどな…
むしろ好機やろ。沖田くん見かけによらずかなり奥手やな。
お瀧「了解。…でもええんか?Aにええ格好見せれるチャンスやで?」
沖田「……何で今アイツの話が」
お瀧「隠しとってもバレバレやで。アンタAのこと好きやろ」
ニッコリ笑って言うてやれば、ものすごい冷めた目を向けられた。
沖田「は?何で俺があんな女好きにならにゃならねーんですかィ。言っときますけど、俺ァあんなチビで生意気で喧嘩っ早くてガサツでバカでアホで鈍感で反抗的でこれっぽっちも可愛くねークソガキなんか、全く興味ありやせんから」
早口で真っ向から否定してくる沖田くんに、ニヤニヤを隠せない。
そのままウチを振り返らずピシャリと扉を閉めて出て行ったけど、その頬は若干赤くなっとった。
はー、可愛ェな〜…青春やな〜…
しゃーない。今回は素直になれへん少年のために、一肌脱いだろか。
手入れした小太刀を取り出し、帯に挿した。
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作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時