第八百三十七訓 赤猫と黒犬の大捜査線 ページ1
お瀧side
皆さんこんにちは。
お忘れかもしれんから改めて自己紹介します。
ウチは「獣衆」が一人“赤猫”こと三島瀧。
棟梁のAに仕える、まァ部下みたいなもんや。以後よろしゅう。
元々忍者としてスパイ活動なら何やらしとるが、普段はお登勢さんの店で世話んなっとる。
せやけど今日はお登勢さんから久々に丸一日休みをもろた。
ちなみにAは真選組のバイト、時雪くんは実家。
他の面子も仕事場へ行き、今日は珍しくウチだけが暇だった。
小太刀の手入れをしていた時、玄関のインターホンが鳴る。
小太刀を素早くしまってから、扉を開けた。
お瀧「はい、どちら様で…」
沖田「どーも」
扉を開けるなりペコリと軽く会釈したのは、真選組一番隊隊長・沖田総悟。
意外な人物に、ウチは目を丸くして彼を見上げた。
隊服を着ている限り、非番ではなさそうやけど…サボりか?
お瀧「…何かご用で?」
沖田「まぁまぁ立ち話もなんですし、座って話しやしょう」
お瀧「それ普通家主が言う言葉やで」
「お邪魔しやーす」と沖田くんは呑気に玄関に入り込む。
仕方なく客間に案内し、茶を出す。
お瀧「何の用や」
沖田「ちょいと、姐さんに調べてほしいことがありやしてね。姐さん、六角事件ってご存知ですかィ?」
お瀧「六角事件?」
一瞬キョトンとしたが、すぐに記憶を手繰り脳内の引き出しの中を探り出す。
お瀧「…あぁ、あれかいな。確か、二年前に旅籠六角屋で起こった真選組と過激攘夷派『創界党』の争闘事件やろ」
沖田「流石は姐さん。ご存知でしたか。んで、お願いしたいことが…」
沖田くんは一拍置いてから、依頼内容を話し始めた。
沖田「創界党のこと、調べてほしいんです」
お瀧「は?」
沖田「お願いできやすか?」
一体何を言うとんや、この子は…
六角事件はそもそも2年前に終わった事件やろ。
何で今になってその話が出てくる?
お瀧「できるも何も…依頼受け取ったら潜入でもハッキングでも何でもやるのが
茶を一口含んでから、沖田くんを見つめた。
お瀧「…そないな事調べて、何するっちゅうねん?大体、アンタこの六角事件の当事者やろ。何で今になってその名前が出てくんねん」
沖田「……」
ふと、沖田くんは黙って脇差を取り出し、ウチに投げつけた。
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作者名:ミサ | 作成日時:2018年6月2日 23時