第四百五十四訓 惚れた女を泣かせる奴は最低【柳生篇27】 ページ40
そんなある日、九兵衛さんは友である姐さんと新八が借金取りに攫われそうになった際、二人を護るために戦い、左目を失ってしまう。
九兵衛さんが左目と引き換えに自分達を護ってくれたことに負い目を感じた姐さんは、「九兵衛さんの左目になる」と約束したのだ。
A「……………………」
黙って聞いていたあたしは、フゥと溜息を吐き、呟いた。
A「くだらねェ。んなモン、ただのエゴだろーが」
次の瞬間、ヒュンッと風が吹き、あたしの言葉に怒ったおっさんが動く。
完全に無防備だったあたしは木刀を振り上げ、突き出してきた木刀を受け止めた。
そこから、斬撃の嵐が襲う。
速く、正確な太刀筋。あたしの不恰好で野生的なそれとは、全くの正反対だった。
A「チッ!!」
大きく剣を振り回し、相手の隙を狙う。
しかし、木刀を跳んでかわしたおっさんは、あたしの後頭部を足蹴にして、背後にまわった。
おっさんの視線が、あたしの皿に刺さる。
皿めがけて、おっさんが木刀を突き出したその時。
ーーガッシィィ!!
おっさんの突き出した木刀は、背中にまわしたあたしの木刀に阻まれていた。
おっさんの動揺が、手に取るようにわかる。
体勢の立て直しが不可能な状態で、完全に無防備な瞬間を突いたはずだった。
なのに、阻まれてしまった。
肩越しに驚愕の色を浮かべるおっさんの顔を見て、不敵に笑う。
そして上体を前に倒して、踵でおっさんの木刀を蹴り上げた。
輿矩「!しまった!!」
A「油断は禁物だぜ、当主さん」
クルクルと回転しながら、木刀が宙を舞う。
木刀に注意を引かれたおっさんの懐に入り、あたしは得物を振り抜いた。
A「せいやァァァァァァァ!!」
バリィィンッ!!
額に付けたおっさんの皿が、音を立てて粉砕される。
おっさんはそのまま吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
壁に体を預けるおっさんを見下ろしてから、あたしは背を向け歩き始める。
A「アンタの娘さんがどんな辛い人生歩んでようが、どんだけ苦労してようが、こっちは全く興味無いし知ったこっちゃねーんだよ。
でもね、これだけはわかる。
.
ーー惚れた相手を泣かすような奴ァ、男でも女でも最低だよボケ」
そう吐き捨て、あたしは新八を追うべく足を速めた。
第四百五十五訓 あたしの剣【柳生篇28】→←第四百五十三訓 人は育ってきた環境によって人間性が変わる【柳生篇26】
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ミサ(プロフ) - 椿さん» いえいえ、こちらこそどうぞよろしくお願いします(^∇^) (2019年2月20日 0時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミサさん» よかったです!毎朝日替わり銀狼に励まされ学校に行っているので「感想を書きたい、でも何度も書いたら迷惑かも...」と、感想を書くことを敬遠していたので嬉しいです!暇が無くても読みふけります笑 (2019年2月20日 0時) (レス) id: 53b466e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます!とても嬉しいです!感想を頂けることはやはり自分にとって励みになりますし、こんな私の作品を好きだと言って頂けることを直に感じられるので、迷惑だなんて思いません!こんな小説ですが、これからも暇潰し程度に楽しんで頂けたらと思います! (2019年2月20日 0時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - いつも読ませてもらってます!やはりミサさんの小説は面白い...笑 一つ質問なのですが、私感想これからも書いていきたいと思っているのですが迷惑ではないでしょうか...? (2019年2月20日 0時) (レス) id: 53b466e5ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサ | 作成日時:2017年8月22日 19時