第四百五十一訓 喩えはわかりやすく言うべし【柳生篇24】 ページ37
森の中に逃げ込み、ひたすら走る。それに並走するように、九兵衛さんが追いかけてくる。
A「何なのアイツ!やたら足速いじゃん!」
土方「こいつァ逃げ切れるもんじゃねーな」
ボソッと呟いたトシ兄ィは、ブレーキをかけ立ち止まる。
土方「行け」
新八「土方さん!」
A「お前っ…」
それに気付いた新八とあたしも、立ち止まってトシ兄ィの背中を見た。
トシ兄ィは血を拭い、呼吸を整える。
土方「心配すんな、テメーのためじゃねーよ。言ったろ、俺ァ喧嘩しに来ただけだ。オメーがやられたら、この喧嘩負けなんだよ」
何言ってんだよ、コイツ。そんな体で戦うなんて…。
新八を振り返らず、トシ兄ィは続ける。
土方「……姉貴に会え。たとえこの勝負に勝とうが、てめーの姉貴の気持ちが動かねーようなら、連れ戻すことなんざ出来やしねーよ」
A「オイ待てコラ」
ガッとトシ兄ィの肩を、あたしが強く掴む。
A「手負いの野郎に任せられっか。あたしがやる、お前は下がれ」
土方「うるせえクソガキ。邪魔すんな」
A「なっ…」
あたしの手を払い、トシ兄ィは懐から煙草を取り出した。
土方「A、お前はアイツを護れ。もうお前しかいねーんだ。頼んだぞ」
A「…………チッ」
…これだから男ってのは。
呆れたあたしは、舌打ちをした。
A「…わーったよ」
勝てなくても、足止めくらいなら出来る。その覚悟の上だろう。
新八もマヨネーズを奢ると約束して、駆け去った。
苛立ちが抑えきれないあたしはもう一つ舌打ちをする。
A「姐さん迎えに行くよ。こっち」
新八「え?ちょ、ちょっと待って!Aちゃん姉上の居場所知ってるの⁉」
突っ走るあたしに並んで、新八が尋ねる。
駆ける足を止めずに、あたしは首を横に振った。
A「んーん、知らない」
新八「はァ!?」
A「こんなもんは勘でなんとかなるんだよ!ってことでこっちだー!」
新八「勘でなんとかなるかァァ!!こっちはここのこと何にも知らないんだよ!?」
一旦止まって考えよう!と提案する新八。
あたしは聞く耳持たず、新八を肩に担いだ。
担がれた新八は目を丸くする。
新八「え?」
A「任せな。あたしの勘は当たるんだ。それこそビリー・ザ・キッドの早撃ち並みに当たるんだぜ」
新八「随分妙な喩えだな!意味わかんねーよ!」
新八のツッコミも全て聞き流し、あたしは再びスピードを上げた。
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ミサ(プロフ) - 椿さん» いえいえ、こちらこそどうぞよろしくお願いします(^∇^) (2019年2月20日 0時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミサさん» よかったです!毎朝日替わり銀狼に励まされ学校に行っているので「感想を書きたい、でも何度も書いたら迷惑かも...」と、感想を書くことを敬遠していたので嬉しいです!暇が無くても読みふけります笑 (2019年2月20日 0時) (レス) id: 53b466e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます!とても嬉しいです!感想を頂けることはやはり自分にとって励みになりますし、こんな私の作品を好きだと言って頂けることを直に感じられるので、迷惑だなんて思いません!こんな小説ですが、これからも暇潰し程度に楽しんで頂けたらと思います! (2019年2月20日 0時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - いつも読ませてもらってます!やはりミサさんの小説は面白い...笑 一つ質問なのですが、私感想これからも書いていきたいと思っているのですが迷惑ではないでしょうか...? (2019年2月20日 0時) (レス) id: 53b466e5ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサ | 作成日時:2017年8月22日 19時