第四百三十七訓 合戦は手を出すまで始まらない【柳生篇10】 ページ23
外の雨はすっかり止み、敷地内のある庭で、柳生一門と恒道館メンバーが対峙していた。
試合のルールはこうだ。
勝負は七対七のサバイバル戦。得物は木刀を使う。
柳生屋敷の敷地内であれば、どこに行っても構わず、その中で戦いを行う。
皿を各々自分の体のどこかに付け、それを割られた者は試合から抜ける。
それぞれのグループの中で大将を一人決め、それが討ち取られたら負け、最後に大将が残っているグループが勝ちというものだ。
それ以外に、特にルールはない。
つまり複数で一人を囲んでも、逃げ回っても構わない。まるで喧嘩だ。
しかしこれは、柳生流に伝わる合戦演習だという。
合戦の状況を模して戦うとは、柳生流はただの道場剣法ではないらしい。
ふと、あたしが気付いたことを口にする。
A「ちょっと待って。アンタらさっき七対七っつったけど、あと二人いないじゃん」
九兵衛「その心配は要らん。ここにいないだけで、人数はちゃんと足りている。ちなみに僕とこの柳生四天王、僕のパパ上は大将ではない。我等の大将は既にこの屋敷のどこかにいる。我々を相手にせず、そいつを探して倒せば勝てるぞ」
A「ふーん、ハンデか何かのつもり?なめられたモンだねェ」
パン、と拳を掌に叩きつけ、挑発的に笑ってみせた。
A「上等だコノヤロー。てめーらのそのスカした鼻、へし折ってやる」
しかし柳生一門の連中はあたしの挑発を間に受けず、去っていった。その背中に、舌打ちをする。
なめられるのは一番嫌いだ。
拳を打ち付けた掌を握り、バキボキと指を鳴らす。あたしは完全に殺気立っていた。
A「野郎ォォ…ツラ潰すだけじゃあ足りねーなァ。あいつら全員に微妙に治りにくい複雑骨折負わせてやんよ…」
新八「Aちゃん落ち着いて!嫌な予感しかしないから落ち着いて!地獄絵図見そうな気がするから落ち着いて!」
新八のツッコミにより宥められたあたしは、仕方なく溜息を吐いて苛立ちを体の外に吐き出す。
近藤さんもイラついていたのは同じらしく、新八の皿を腰辺りに取り付けていた。
近藤「もうムカつくからさァ、こっちも大将ムキ出していこうぜ!丸出しでいこうぜ、いつやられてもOKみたいなカンジで!!」
新八「OKじゃないっスよ!!一発KOですそんなトコ!ってか僕が大将!?」
第四百三十八訓 ドSが三人いると苛立ちだけが募る【柳生篇11】→←第四百三十六訓 昨日の敵が今日の友になる確率は低い【柳生篇9】
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ミサ(プロフ) - 椿さん» いえいえ、こちらこそどうぞよろしくお願いします(^∇^) (2019年2月20日 0時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミサさん» よかったです!毎朝日替わり銀狼に励まされ学校に行っているので「感想を書きたい、でも何度も書いたら迷惑かも...」と、感想を書くことを敬遠していたので嬉しいです!暇が無くても読みふけります笑 (2019年2月20日 0時) (レス) id: 53b466e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます!とても嬉しいです!感想を頂けることはやはり自分にとって励みになりますし、こんな私の作品を好きだと言って頂けることを直に感じられるので、迷惑だなんて思いません!こんな小説ですが、これからも暇潰し程度に楽しんで頂けたらと思います! (2019年2月20日 0時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - いつも読ませてもらってます!やはりミサさんの小説は面白い...笑 一つ質問なのですが、私感想これからも書いていきたいと思っているのですが迷惑ではないでしょうか...? (2019年2月20日 0時) (レス) id: 53b466e5ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサ | 作成日時:2017年8月22日 19時