第三百五十六訓 レム睡眠の時だと気持ち良く目覚められる【紅桜篇18】 ページ34
Aside
気がつくと、目の前が真っ暗になっていた。
体が重い。まだもう少し寝ていたい。
しかし、体が勝手に瞼を開けた。
A「………」
??「あっ!!Aちゃん起きた!?大丈夫?俺のことわかる?」
立て続けに大声で話しかけてくる、地味な雰囲気を纏った男が、涙目で覗き込んでくる。
視界がぼんやりとしていて、あたしにはよく見えない。聴覚を頼りに、そいつの名を呼んだ。
A「ザキ、兄ィ…?」
山崎「よかった!全然動かないから、このまま死んじゃうんじゃないかと思って…」
涙を拭って、ザキ兄ィが笑顔を見せる。
何で。どうして?ここは一体…。
ザキ兄ィに手を伸ばそうとしたが、ズキッと体に鈍い痛みが走った。
A「いっ…!!」
山崎「動いちゃダメだよ、Aちゃん体を貫かれてたんだ。待ってて、今水とか持ってくるから。局長達も呼んでくるよ」
A「待っ、て…ザキ兄ィ…」
掠れた声で呼び止めても、それはザキ兄ィの耳には届かない。
痛みを堪えながらなんとか手を伸ばしたが、掴むのは宙だけだった。
脳が急速に覚醒していくと共に、昨日のことを思い出す。
…そうだ。あたしは、似蔵にやられたんだ。
銀を助けようとして飛び込んで、結果返り討ちにあってしまったんだ。
その後、紅桜で私を串刺しにして、そのまま意識を失って…。
伸ばした手をそのまま貫いた腹の上に置くと、やはりそこには布団しかなかった。
震える手で布団を退かして、無理やり体を起こす。
あの一撃で血塗れになった服が着替えさせられ、いつもの藤色の着流しから白い着物になっていた。
A「…まるで死装束だね」
汚れ一つない真っ白な着物に触れ、嘆息する。それから、髪を掻いた。
しかしまぁ、いつか辰兄ィが言っていたように、生きていたなら儲けもんだろう。そこまで楽観的な状況ではないけれど。
でも、誰がここまで運んできてくれたのか。
銀は大怪我を負っていたから不可能。似蔵は論外だから…新八か、と一人で納得する。
第三百五十七訓 他人の心を読み解く能力がないから、人間は疑心暗鬼にも陥る【紅桜篇19】→←第三百五十五訓 人は見かけによらない【紅桜篇17】
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ミリア - すごく気に入った作品で面白かったですもし他の作品を作る予定なら銀魂の作品でアニメKかリボーンの世界にトリップか転生した銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体にきよつけてがんばてください。応援してます。 (2017年8月9日 18時) (レス) id: e3c7f73b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサ | 作成日時:2017年7月7日 0時