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○拘束から解放されたAは自力で座っていることなど出来ず、支えを失った人形のように床に倒れ込む。
そんな彼女に一歩、また一歩とゾムが近付く毎に女達はずりずりと後退をして、自然と部屋の入り口に集まっていく。
Aの下へ辿り着いたゾムは立ち止まり、そして静かに振り返った。
「殺されたくないんやったら、さっさと出てけ」
長い前髪の間から見えた緑玉がギラリ、と光る。
放たれた殺気に震え上がった女達は身の危険を察知し、一斉に逃げるように部屋から出ていった。
慌ただしく走る足音が廊下の奥へと消えていくのを確認したゾムは再び目の前で横たわるAへ振り向き、ナイフを仕舞いながらその場で膝を折る。
彼女の全身に目を行き渡らせる。小さく動く胸にひとまず安堵し、汚れが付着した体と痣だらけの腕と脚に眉を顰めた。とりあえず出血はしていなさそうだ。
A、と彼女の名前を呼んで涙で濡れた頬を撫でる。すると閉じられていた彼女の目が薄く開かれる。首を僅かに動かした彼女の視線がゾムに向き、彼の目と合う。
「……もう、大丈夫やからな」
先までの殺意は何処へやら。彼女に向けたゾムの声は普段通りに戻っていて、寧ろ一層優しさが滲み出ていた。
そんな彼の温もりを頬に感じ、胸の中にじわりと温かさを染み渡らせたAはまた一滴、涙を零す。そしてもう目を開けている気力さえ失い、そのまま再び目蓋を落とした。その横顔は心なしか安堵しているように見える。
それからゾムはすぐに彼女の体を慎重に抱き上げて部屋を出る。目指すは医務室。痣以外に目立った外傷は見受けられないが、中が傷付いていたら大変だ。
振動で彼女を傷付けたりしないかと心配になりながらもゾムは走る足を止めなかった。
それと同時に、長い廊下を進んでいく中、だらりと力を失った彼女の体がまるで腕から零れてしまいそうな、そんな焦燥感を覚えて眉間に一層皺を刻んだ。
○
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抹茶ちよこ(プロフ) - 。さん» 。さん、こちらの作品を読んで下さり誠にありがとうございます！続編はあります。リンクが連携されていない理由と検索方法はコメント欄にあります(このすぐ下です)お手数をお掛けして申し訳ございませんが宜しくお願い致します。 (3月29日 20時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 作品が好きで見させてもらっています。作品一覧に3が無いのですが、削除されてしまっていますか？ (3月29日 4時) (レス) id: fadf2e6ab2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - から入って探して頂ければと思います。申し訳ございません。ですがR18作品なので勿論18才未満の方の閲覧はご遠慮しております。もしそうでなければ、どうぞ続きをお楽しみ下さい！ (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 青さん» 青さん、ご感想ありがとうございます✨こちらの続編ですがR18作品になっておりまして、占ツクの仕様上、健全物とR18はリンクを紐付けることが出来ないようになってまして…。なので続編はお手数ですが私の名前をクリックか、↑の「この作者の作品を全表示」と言う所 (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
青 - とても好きです。2の続編が見つけられず…どこから観れるか教えていただけませんか？ (12月2日 15時) (レス) id: 437b233046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年9月16日 15時
