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「ま、まあ、俺も好きやで。ゲーセンだけやなくて普通に家でもやるしな。自分で言うんもあれやけど、結構腕には自信あるんやで」
「へえ、そうなんだ。どんなジャンルをやるの？」
「えーっと……アクション、ＲＰＧ、格ゲーもやるやろ？ 結構何でもやな。あ、最近はＦＰＳにハマってんねん」
すると彼女の瞳が一際輝いた。
「ＦＰＳって何やってるの？」
「ああ、ヴァーテクスやで」
「ホント？ それ、私もやってる！」
そこで初めて彼女の顔に笑みが浮かぶ。あの時の、ゲームセンターで見たことのある表情。食い付いたのが分かりやすいくらいに声のトーンが上がった。
彼女が少し前のめりになったことで、嬉しさを滲ませたその瞳がより近くなる。そこに映る輝きが何だか眩しく感じて、ゾムは少しだけ戸惑った。と同時に、ああこんな風に笑っていたんだなと思った。
「へ、へえ、Aさんもやってるんか！ け、結構ＦＰＳ得意なん？」
「うーん、得意って訳じゃないけど、好きは好きだよ。私も基本ゲームなら何でもやってて……」
話が盛り上がりそうになったその時、昼休みの終了を知らせるチャイムが校内に響き渡る。それを皮切りに教室内のざわめきが増し、二つの扉では生徒達の忙しない出入りが始まる。
自然と二人の顔が黒板上の時計に向く。改めて時刻を確認すれば、心なしか彼女の表情が残念そうに暗くなる。ゾムもまた彼女と同じような顔を浮かべて、あー、とチャイムで消えそうな小声を漏らした。
正直まだ話し足りない。まだほんの僅かしか彼女のことを知り得ていない。
そう思っていると彼はふとある提案を閃いた。
「な、なあ！ また後で話さん？ ほ、放課後とか、時間ある？」
「え、放課後……？ あ、う、うん、大丈夫だけど」
「ホンマ⁉︎ 良かった！ じゃあまた後でな！」
この後の約束を取り付けるとゾムは安心したようにまた笑みを見せた。そして周りの慌ただしさに感化されて急いで椅子から立ち上がり、彼女に別れを告げると自分の席へと戻っていった。
その後ろ姿を彼女は未だ現実を理解出来ていないような、呆然とした表情で見つめていた。
————————
【vertex】(ヴァーテクス/英)
意味：頂上、最高点
類義語：apex
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
