09：君の実力を知りたい ページ9
○共通の趣味を持つ人間同士が出会うとどうなるか。それは至極簡単、仲良くなるのに時間が掛からない。
しかもただのゲーム好きなだけでなく、好んで遊ぶジャンルや以前ハマっていたもの、現在進行形で遊んでいるものが被ればそれはもう話が弾んでしょうがない。
時間が経てば今日初めて言葉を交わしたとは思えない程、二人の空気感は柔らかいものになっていた。好きな話題を話している様子はまるで旧知の仲のように見える。
どちらもあまり他人に心を開きにくい性格である。しかし一度開けば、相手に心を許しつらつらと己のことや考え、思いなどを明け透けにしていく。そして大きく広げた扉の奥に、相手の情報を次々と吸収していく。まるで互いの知らなかった時間を埋めるかのように。
そうして話に夢中になっていると教室にはもう二つの影しか残っておらず、あれだけ騒がしかった光景も今やその面影すら無くなっていた。静かに整然と並んでいる机に赤い光が差している。
「はえー。ようその武器使えんなあ。俺もやってみたけどいまいち当たらんくて、あまり使わんのよなあ」
「まあ確かにダメージ出るのが魅力だけど、ちょっとコツがあるからね。私も慣れるまで結構練習したし」
「せやよなあ。うーん、けど聞いてるとやっぱ強そうやから使ってみたくなるんよなあ。今日からちょっと練習してみるか」
腕組みをしながら真剣な表情で唸るゾム。その様子にAは思わず小さな笑い声を漏らした。その顔にとても楽しげな色を浮かべながら。
その後、二人の間に流れていた和やかな雰囲気は見回りに来た男性教諭によって切り裂かれた。そこで時刻が完全下校間際であることにようやく二人は気付いたのだ。
どちらも部活に所属していないのでこんな時間まで学校に残ることはほぼない。いつの間にこれほど時間が経っていたのか、二人は驚きと共に何処か新鮮な気持ちを抱いた。
そして先生に見張られながら急いで自分の鞄を手にした後、教室から出ていった。
帰り道、彼女の家の場所を聞いたゾムは彼女を駅まで送り届けることにした。学校から駅まではほんの数分、その間でも二人の会話が途切れることはなかった。
そしてあっという間に目的地に着く。仕事帰りの会社員や学校帰りの学生が次々と駅の中へと吸い込まれていく光景が遠くからでもよく見える。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
