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「くそぅ、三位かあ……っ」
「おお……A強ぇな」
「いや、二人が勝手に争ってたから私が独走しちゃったんだって」

 長い戦いの末、優勝が勝ち取ったのはAだった。画面に映し出された結果を見るも彼女は何だか腑に落ちないような表情を浮かべる。
 一方らだ男に負けたことが大層悔しかったのか、ゾムは盛大に肩を落として深い溜息を吐いた。結構彼とは良い勝負を繰り広げていたのだが、負け数は微かに彼よりも多いと思われる。そしてノーマークだった彼女がミニゲームでトップを幾度も取ったり地道にコインを稼いだことにより、この順位に収まってしまったのだ。
 別に彼女に負けたことが悔しいのではない。いや悔しいけれど、主にこの大人気ない年上男に負けたのが悔しいのだ。
 
 ほぼほぼ五角だったのに。今回はあまり運も良くなかったのでそれもきっと敗因の一つだろう。
 気分を落ち着かせ冷静に分析しながらゾムは残り少ないグラスの中身を一気に呷った。空になったそれを再びテーブルに戻すとカランと中に残された氷が音を立てた。
 
「いやあ、久し振りにやるとおもろいねこれ」
「だね。すっごく楽しかった。てからだ兄、ゾム君狙い過ぎでしょ」
「だって、こいつめっちゃおもろいんだもん。ゲームも上手いしさ、張り合い甲斐があるって言うか」
「ごめんねゾム君、このバカ兄の所為で」
「いや、大丈夫やって。Aが謝ることなんて何もないねん。悪いのは全部このバカやから」
「おーい、二人してバカって何だバカって」
 
 俺泣いちゃうぞー、なんて微塵もそんな気配の無い声色で言うらだ男。寧ろ微かに口角が上がっている様子からして全くもって反省の色が見受けられなかった。

 とりあえず一区切りが付いた所で小休憩を挟み、各々先程の戦いの疲れを癒すようにまったりとソファーでくつろぐ。丁度三人のグラスが空になったのに気が付いたAがそれらを手に取りリビングから退出した。
 彼女がいなくなったことによりゾムとらだ男の間の隔たりがなくなる。だからと言って特に会話がなされる訳でもなく、しばらくテレビから流れる陽気な音楽だけがその場に響いていた。

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作品ジャンル:恋愛
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時

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