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二年生に上がって一緒のクラスになったことで自然と彼の印象はより強くなっていた。学ランの下にいつも着ている緑のパーカーにいつも被っているフードが良くも悪くも目立っていて。よく友達と話している時笑っていることが多いと知ったけれど、他の人達とは違う風貌と目元を覆う陰の所為で怖い印象が拭えなかった。
 その結果、それ以上彼を知ることはしなかった。彼は別世界の人間。そう自分の中で決めて関心の枠から排除したのだ。
 
 しかし、今回の件でつくづく思い知らされた。人は見かけで判断してはいけない、よく知らないのに自分の偏見で相手をこうだと決めつけてはいけない、と言うことを。
 
 
 彼と話してみて、彼の印象はガラリと変わった。怖さはもう何処かに吹き飛んでしまった。
 好きなものを話す時の明るい声、陰の下でも分かるくらい光り輝く緑色の目、無邪気に笑った時に見えるあどけなさが残る顔、つい釣られそうになる癖のある笑い声。加えて焦ったり慌てたりすると、それが顕著に仕草や口調に出る様子に思わず可愛いとさえ感じてしまった。
 
 そして何より同士だったと言うことに驚きを隠せなかった。まさか自分がこれまでやってきたゲームがことごとく被るとは。しかもこなしてきた数も結構だった。
 古いのから新しいのまで。全般的に浅く広い情報を持っているが、興味を抱いているものに対しては深い知識を持っていて感心させられることもあった。
 身内以外でこの話をこれ程まで語り合えた人は彼以外いないだろう。長く付き合ってきた友達ですらこんな熱いトークを交わしたことはなかった。
 
 おかげで自分の中の彼への好感度はうなぎ登りで、今までが嘘のように彼に興味津々となった。彼のゲームの腕前の高さが更にそれを助長させて、正直ワクワクが止まらなかった。
 画面の向こうには上手い人は沢山いるけれど、こんな身近にこんな凄い人がいたんだとしばらく興奮を冷ませなかった。一緒にゲームセンターに行った時はまさに最高潮だった。もうその時には二人きりで遊ぶことに緊張していた気持ちは何処へやら、ただひたすら楽しむことに夢中になっていた。

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作品ジャンル:恋愛
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時

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