15：少女、驚喜 ページ15
「ねえ、あんたいつの間にゾム君と仲良くなったの？」
その問い掛けにAは思わず頬張っていた昼食を気管に誤飲しかけた。軽く咳き込んだ後、向かい合わせた机の先に座っている友人を見る。するとその手元にあるお手製の弁当をつつくのを止めて、こちらを見つめる彼女と目が合った。
次いで自分の周りを見回して、話題に出た彼の姿がないことを確認する。それに安堵したAは再び友人の方へと顔を向けた。
「えっと……つい最近」
「いや、それは知ってるけど。まさかあんたがゾム君と仲良くなるなんて思わなかったからさ」
そう言って彼女は再び箸を動かして、巻き方も焼き加減も綺麗な卵焼きを口に放り込んだ。
それは一番自分が思っていたことなんだけど。Aはそう思いながら自分の手元にある母の手作り弁当に視線を落とした。まだ半分以上残っている、色とりどりの中身を見つめながらどう説明したら良いのかと考える。
——彼を認識したのは一年の頃。入学式から大分過ぎ、一年生の間にあらかたグループが出来るぐらいの時期だと思う。
その中に一際生徒間で噂されるグループがあった。それが彼がいる所で、特に女子からの人気が高いことは知っていた。風の噂や数少ない自分の友人達が話しているのを何度か耳にしたことがあったが、特に関心は示さなかった。
正直——交わることはないと思っていた。
昔からどうにもああいう周りから持て囃される存在は苦手だった。それに加えて社交的で明るいイメージもあったから、尚更苦手意識が強かった。だから意図的に避けてきて、おそらくあちら側には自分は何一つ印象に残ることも、認識すらされないで学校生活が過ぎていくと思っていた。
よく通っているゲームセンターで彼らを見つけたのも偶然で。その時は、ああ彼らもこういう所来るんだ。やっぱり男子だなあ、くらいしか思わなかった。
何度も見かけている内に一つ気付いたことがあった。それは彼らのグループの中で一人だけ、いつも其処に来ている人物がいたこと。
それが、鳥井君だった。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
