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○彼女も、こちら側の人間なんだ、と。だから取り乱すこともなかったのか。
「まあな」
「誰かを殺してきたの？」
「……」
「もしかしてさっき来たお兄さん達の仲間？」
誰が言うか。こちら側の人間で素性の知れない女に、ほいほい情報を渡す阿呆がいるものか。
大先生じゃあるまいし。
ゾムは一切口を開こうともせず、質問責めしてくる少女の興味が早く無くなれと願った。本当ならその場から離れたかったが、未だ外には追手がうろついているし、消耗し切った体力を少しでも回復したいと考えていた。絶好の隠れ場所を見つけてしまったからには、背に腹は変えられない。
ぐっと堪えたゾムが面倒だと言わんばかりの溜息を返すと、少女の声はぴたりと止まった。
再び二人の間に沈黙が流れる。
空気で察してくれたのか、質問責めから解放されたゾムはようやく一息つくことが出来た。段々と気持ちも落ち着き、顔を上げて何気なく空を見上げるくらいの余裕が生まれる。
そんな時、隣から動く気配を感じた。気になって少しだけ左へ視線を向けると、少女が外の方を見てその場に座り込んでいる光景が目に飛び込んできた。
は？と、思わず眉間に皺を寄せる。
この少女は本当に何を考えているのか分からない。殺し屋が隣に居ると言うのに何故こうも平然としていられるのか。もしや逆に自分が何もして来ないから、無害だと思われて舐められているのだろうか。
少しだけ苛立ちを覚え始めたゾムだが、少女が体育座りをしている所為で、際どい所が更に際どくなったのが目に映り、思わずすぐに目を逸らしてしまった。本当にひょんなことで中が見えてしまいそうだ。
少女はその体勢のまま、じっと自分の足先を見つめている。その横顔は何となく憂いを帯び、俯き気味な為前髪で目元が暗くなり、その瞳が一層闇を抱えたように見えた。
何とも奇妙な空気が流れる。
聞こえてくるのは偶に鳴くカラスの声と近場を走る車の音。今日の天気は曇り、灰色の雲がどこまでも続いている為、正確な時間は測れない。少なくともゾムにはこの居心地の悪い時間を数分過ごした感覚はあった。
そんな時だった。きゅるるる、と間抜けな音が彼の腹から聞こえてきたのだ。
周りがほとんど無音の為、決して大きな音量ではなかったものの、それが少女の耳に届くのは容易なことだった。実際今まで虚無を見続けていた彼女がそれに気付き、彼の方へ顔を向けてきたのだ。
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抹茶ちよこ(プロフ) - コメントありがとうございます！嬉しいです！では是非読ませて頂きますね(^-^) (2021年10月29日 3時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
アンテール(プロフ) - こんな作品があったなんて…。驚きです。この作品、大好きです！(*^^*)良かったら私も書いてるのでいかがですか？自分の作品紹介してすいません。 (2021年10月27日 9時) (レス) @page40 id: 798525d29d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - はぁぶ。＠某戦争屋推しさん» コメントありがとうございます！まさかこちらの作品も見て下さったとは…！本当にありがとうございます(T-T)が、頑張ります…！ (2021年8月7日 4時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。＠某戦争屋推し - 二章が気になる……。短編集の方から来た人です！抹茶ちよこさんの表し方？が好きです。更新を心待ちにしてます！頑張って〜 (2021年8月5日 18時) (レス) id: 457f98608e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年5月21日 14時
