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○その時だった——。
少女の視界から、一瞬にして光が奪われた。
「何…？」
突然の闇の襲来に少女は上体を起こす。さっきまで煌々と輝いていた室内灯が消えたようだ。
あまりにも不可思議な現象に首を傾げる。消灯をするにはドア付近にあるスイッチを押す必要がある。だが、明らかに自分はそれに手が届く場所にいない。
停電だろうか。どうやら光が消えたのは自分の部屋だけではないらしい。扉越しに廊下の方から同じ階にいる女性達の騒めきが聞こえてくる。
だがこの状況では自分は何もすることが出来ない。少女は大人しく、電気が復旧することを待っていた。
すると次の瞬間、遠くの方からガシャンと何かが割れる音と破裂音が聞こえた。それをまるで皮切りに、引っ切り無しに音が飛び交い始める。男達の怒号や悲鳴に混じるそれが銃声だと察すると、女性達も悲鳴を上げ始め状況が慌ただしくなる。
突然始まった銃撃戦に少女は顔を青褪め、ベッドの隅へと後ずさる。
音の距離からして、どうやら階上で行われているらしいが、いつ魔の手がここに来るか分からない。まさか突然命の危機に晒されるなんて、誰が予想出来ようか。
恐怖に怯え、ようやく暗闇に慣れた目で扉を見つめながら少女はただ震えるばかりだった。呼吸が乱れ、心臓が痛い程に強く脈打っているのを感じる。その間にも銃声と破壊音は鳴り続けている。
どうかここには来ないで欲しいと切に願いながら戦闘が止むのを待っていると、突然目の前の扉が勢い良く開いた。驚いて肩を跳ね上がらせた少女の心臓も同時に大きく跳ねた。
どんなに目が暗闇に慣れようとも、相変わらず視界が悪くてよく見えないが、扉の所に誰かがいる気がする。
殺される——！
本能的にそう思った少女の目の奥から涙が滲み出てくる。
それに追い討ちをかけるように、その人影はずかずかと部屋の中に入ってきて、一直線に少女の方へと近付いていった。
「嫌、嫌……！」
絶望の足音に震えながら、なけなしの勇気で声を振り絞って僅かな抵抗を漏らす。既に後ろは壁で退がれないのに、足が自然と退がろうとベッドのシーツを蹴る。
そして遂にその侵入者が間近まで迫った時、恐怖心が爆発して少女は叫ぼうと口を開いた。
が、次の瞬間、その口を大きな手で覆われてしまった。出かけた声は驚きと共に相殺され、混乱した彼女の目からは涙が溢れ出てきた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - コメントありがとうございます！嬉しいです！では是非読ませて頂きますね(^-^) (2021年10月29日 3時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
アンテール(プロフ) - こんな作品があったなんて…。驚きです。この作品、大好きです！(*^^*)良かったら私も書いてるのでいかがですか？自分の作品紹介してすいません。 (2021年10月27日 9時) (レス) @page40 id: 798525d29d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - はぁぶ。＠某戦争屋推しさん» コメントありがとうございます！まさかこちらの作品も見て下さったとは…！本当にありがとうございます(T-T)が、頑張ります…！ (2021年8月7日 4時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。＠某戦争屋推し - 二章が気になる……。短編集の方から来た人です！抹茶ちよこさんの表し方？が好きです。更新を心待ちにしてます！頑張って〜 (2021年8月5日 18時) (レス) id: 457f98608e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年5月21日 14時
