愛の牢獄IV【白布賢二郎】

＊ ページ17

・





車が高速道路を走る。




もう随分長く車を走らせているのに
全くと言っていい程会話がない。




運転する川西さんの横顔をチラリと見た。





前から思ってたけど…川西さんって寡黙な人…
女の子とあんまり話したりしないのかな。





『あの…川西さん』




川西「ん？」




『川西さんって…
白布さんと仲良かったですよね？』





川西さんが驚いた様に目を見開いた。





川西「何…賢二郎のこと気になるの？」





『…瀬見さんや工君は、私が白布さんの名前を出すと途端に気まずい雰囲気になりました。

‘‘そのことは覚えてない”とか‘‘分からない”って口を揃えて言うんです。』





そして私自身、今までは知るのが怖かった





思い出そうとすると胸が締めつけられたから。





「無理に思い出さなくていいんだ」
そういってくれた周囲の優しさに甘えてきた。




でも






『知らなきゃ…いけない気がするんです。』





川西さんはふっと頬を緩めた。
初めて見る、少し嬉しそうな表情だった。





川西「そうだね…俺もそう思うよ。」





車がパーキングへと入ってゆく。





もう辺りはすっかり暗くなり、パーキングの中のお店はほぼ閉まっているようだった。





川西「A」





『は、はい…！』





車に乗る前から思ってたけど…川西さんって私の事呼び捨てだったっけ？





川西「あ、悪い…あんまり賢二郎がAA言うから、呼び方うつった。」





『えっ…』





白布さんが、私の話をしてるの…？







川西「今から話すことをどう捉えて、これからどうするかはあんたの自己責任だよ。

それでもいいなら話す。」






『……はい』






・

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す