episode36 ページ36
愛莉が泣いたのなんて…初めて見た。
そんな悠長なこと言ってられたのもこの時まで。
安心して気を抜いたのがいけなかった。
どくん
嫌な音が、うるさい
「…っは」
肩を揺らして呼吸するこの感覚が、今はとてつもなく気持ち悪い
「……っぅ」
「…A?」
痛い。
身体中が、叫んでる
「A、ちょっ、大丈夫…?!」
「…っ平気…!」
ばれたくない。
でも、隠せそうにもない。
胸元のペンダントに触れるけど、雨のせいで滑って掴めない。これじゃあ…、私も、愛莉も…っ
「……A、大丈夫…なの?!ねぇ、ねぇってば!Aっ!」
「…大丈夫、だから」
ふらつく足取りで入口に向かう。
愛莉を左に支えて、足を引きずる形で。右手は、胸元をが知りと掴んでいて。
もう、何が何だか…
「っあっ…!!」
外に出たところにあった水たまりに滑って身体が前に傾く。
転んでしまう。そう思っていたけれど、その反動はいつまでたっても来ない。
そのかわり
「は…る…、っ」
「危ねぇな」
暖かい、誰かの…晴の腕に捕まえられた感覚。
「……遅い…わよ、晴」
安心して、晴の腕をすり抜けて膝から地面に崩れる。
「…悪かった。立てるか。入口に迎えを呼んである」
「…私は大丈夫だから…、愛莉のこと、連れてって」
痛い。
胸が締め付けられる。
苦しい。
「え、でも…」
見ないで、私を。
「行って!!早くっ…!」
「…分かった」
晴が愛莉を連れて行って、遠ざかる人の気配。
遠ざかっていくのに比例するように、私の痛みは強くなっていった。
「…っ…!」
だから、気づかなかった?
意識の端に残るのは、ここにいるはずもない
彼の姿
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Yuria(プロフ) - Yuriさん» ありがとうございます!更新お楽しみに!! (2018年8月6日 20時) (レス) id: ef6245827b (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています。更新、楽しみにしています! (2018年8月4日 9時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
Yuria(プロフ) - プリンプリン♪さん» ありがとうございます!頑張って更新続けます (2018年7月29日 20時) (レス) id: ef6245827b (このIDを非表示/違反報告)
プリンプリン♪(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください(^-^) (2018年7月20日 18時) (レス) id: 3399139195 (このIDを非表示/違反報告)
Yuria(プロフ) - 平野ゆづかさん» ご指摘ありがとうございます!!直してきました! (2018年7月7日 19時) (レス) id: ef6245827b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yuria | 作成日時:2018年6月27日 22時