花の令嬢は平穏に生きたいのです。＃４

episode２９ ページ29

愛莉が、家に帰ってない



「それで？見つかったって？」


「ううん。なにか手がかりはないかって。愛莉さん、やっぱり、わたしのせいで…」


「音が思い込むことないわよ。気にしないで、」


やっぱり、深く傷つけてしまった


「…にしても手がかりって…、愛莉が行きそうなところなんて…思い出せ……あ…」


『むらさきの花のひめ』のラスト…思い出した


村人にむらさきの花に変身することがバレて、


一人ぼっちになって…




────自分の持ってる毒で………………！




「あ」




─────── ほらあの工場覚えてる？


─────── 一緒に家出してくれたんだよね




「愛莉っ…！」



あそこだ。あの工場だ。



走り出そうとして、店の入口で止まる。



場所が、分からない、


あのときは、とにかく愛莉に手を引かれて…、気がついたらあそこにいた。


晴だって…詳しく覚えてなん…て…



「晴…だったら…知ってる…？」



「A？どうしたの？」



「音、ごめんなさい！また来るわねっ」




急げ。晴なら…知ってるかもしれない



コンビニを走り出て、しばらくしたら海人の後ろ姿を見つけた。


「A?!」



「海斗っ！晴、知ってるかもしれないわ！」

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