花の令嬢は平穏に生きたいのです。＃４

episode２７ ページ27

音side


「…音っち散々だったねぇー。いやっ、女の嫉妬は恐ろしいっ」


「やっぱりそういう事ですよね…」



嫉妬…か、



「だって凄かったじゃん、もんじゃの時だって、視線がさぁ！もうラブビームバンバン飛んでたじゃん！」


テンション高めに話す紺野さん。


その紺野さんのテンションとは反対に、私のテンションは下がる一方。


「…わたしが愛莉さんをあんなふうに…」



わたしが、Aと仲いいから…、愛莉さんは



「音っちが思い詰めることなんてなーんにもないよ？今度あったら正座で説教って感じ！」


正座で説教って…愛莉さん、正座とか出来るのかなぁ…。何となく、Aはできなさそうだけど。


「…けどさ？」


「けど？」


椅子に腰を下ろして、頬杖をついてこっちを見てた


「好きな人に拒まれるって、それ以上に辛いことなんてないよなぁ、って思ったりもしなくもない」



…それも、そうなのかな



「まぁ、こういう時は、思いっきり泣いて、友達とぱあっと騒げば…、あの子友達いないんだっけ」



友達、いないみたいです。紺野さん。


まぁ、普通に見たら性格に難アリだよね



店のドアが開いて、音が鳴る。


「いらっしゃいませーーー」



お客さんかもしれない、と思って急いで椅子から立てば、黒いジャケットと少し前に見た顔。


「江戸川音」



…平海斗さん？

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