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episode12 ページ12

「…え、兄様?」


家に入れば、入口に堂々と兄様が待ち伏せていて。

後ろではつくしさんが苦笑いしていた。


「……………私、兄様には赤い薔薇が似合うと思いますけど…、」


かわいいピンクの花束。


そりゃあ、その辺の同い年の人に比べたら遥かに似合っているけど。

少なくとも嫌悪感は抱かないけれども。


「はぁ?!A、ふざけるなよ!俺様はなんでも似合うんだよ!」

「…そうでした。ごめんなさい」


すっごく棒読みだったけど、10歳も違う妹に遠回しに似合わないって言われたからってそこまで怒らなくても。


そう言えば、兄様が私に花束を押し付けてきた。


「…この花…、兄様が…?」


「なわけないだろ!!天馬からだよ!」


「…本当ですか…?それ」



いや、兄様からだったらむしろちょっと怖いけど。

何となく信じられなくてつくしさんに問うてしまう。


「Aちゃんに、って天馬くんが持ってきてくれたの。体調はどうですか?っていう伝言付きで」


目線を下に落とせば、目に入るのは綺麗なピンク。


そして何より、鼻腔をくすぐる花の匂い。


「…やっぱり、天馬ってば気取ってる…」


「…あれ、司ってば花言葉詳しかったの?」


この場所に、いるはずのない人の声がした。


「…え、類さん?」


私の顔の横にひょこっと出てきた類さん。


花を見るなり、そう言った。


「ふぅん。Aちゃんってば、モテるね。司も。いくらAちゃんが可愛いからって、妹に変なことしないでよ?」


「類さんも、花言葉詳しいんですね?」


「Aちゃんほどじゃないけど、多少は。」


この、花の名前は……、


「私、部屋に生けてきますね。」


階段を登る度に、振動のせいで香る匂い。


この魅力的な匂いと、見た目。


この花は、ナデシコ科のダイアンサス。


意味は………、



「………………ぃ、か……、」


花を花瓶に生けながらぼそっと呟いた。


次の瞬間にはどうにか頭の中を別のことに切り替えようと、そのまま窓辺において明日の洋服を決めるためにクローゼットを漁りに向かった。

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Yuria(プロフ) - Yuriさん» ありがとうございます!更新お楽しみに!! (2018年8月6日 20時) (レス) id: ef6245827b (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています。更新、楽しみにしています! (2018年8月4日 9時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
Yuria(プロフ) - プリンプリン♪さん» ありがとうございます!頑張って更新続けます (2018年7月29日 20時) (レス) id: ef6245827b (このIDを非表示/違反報告)
プリンプリン♪(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください(^-^) (2018年7月20日 18時) (レス) id: 3399139195 (このIDを非表示/違反報告)
Yuria(プロフ) - 平野ゆづかさん» ご指摘ありがとうございます!!直してきました! (2018年7月7日 19時) (レス) id: ef6245827b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yuria | 作成日時:2018年6月27日 22時

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