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「…あんたとはキスできたんだけどな」
あとほんの数センチでくっつける距離に来たルシアの口元を片手で塞いだ。
つまり拒んだ。
ルシアはか細い声で
「え…？」
つぶやいた。
拒否されるなど微塵も思っていなかったからだ。
ぽかんと口を開けたままローを見つめる。
「他の女ともできたんだけどな」
ローはため息と一緒に煙を吐き出だした。
自分自身に呆れているよう。
そのまま少し歩いてルシアをかわして背中を向けた。
「付き合う、だったか？その気にならねェからいい」
「え…、な、なんで？今までも……もしかして、あの子といい感じなの？」
途中でルシアの瞳に、理知的な光が宿る。
Aに関しての部分はビンゴだった。
「いや、逆に悪いな」
「じゃあ…」
「ねェな。他のやつでいいって思えねェ」
ルシアは唇の端を歪める。
ここまで言われるともう打つ手はない。
ローは灰皿スタンドに煙草を捨てる。
赤ちょうちんが似合う店の引き戸を背景にし、
「あんたのことはコラさんと同じくらい恩人だと思ってるし、確かに初恋の相手だな」
「あの子は生徒なのよ…？」
「だからそれ相当の対応はするつもりだ」
「本気…？」
「……どうだろうな」
いつも余裕があるルシアが取り乱している。
逆に追い詰められていたはずのローは変わらず余裕があった。
「あんたにも色んなものを貰ったし、あんたのおかげで教師になれてる。感謝してる。あの時は世話になったな」
それは終わりを告げる言葉だった。
簡単に言えば餞別。
さまざまに去来する思いを、ルシアは封じこめ、
「……どういたしまして」
深呼吸するかのように息を吐きながら、掠れた声で喋る。
「…私は応援できないよ、ローくんとAちゃんのこと」
ローの横を通り過ぎ、のれんを片手で上げて引き戸に手をかける。
先ほど取り乱していたのが嘘のように落ち着きながら、
「世の中には私みたいな考えの人間が多いこと、忘れないようにね」
戸を開ける。
静かな路地裏にカラカラと建物の壁から別の建物の壁へと反響していき音が轟く。
「……またね」
閉めた。
1人路地裏に残され、また塀に寄りかかる。
ルシアに言われた言葉を耳に残しながら、
「……どうするかだな」
ポケットから煙草を取り出し、加えた。
カチッと火をつけ、燻らす。
ローが煙草を吸うのは何か考え事がある時_____悩み事を解決しようと考えている時だ。
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はるさめ(プロフ) - あの、最初の6~7ページかが名前になってて設定した名前に変換されてません。そしてこの作品凄く面白いですね！まだまだ最初部分しか見れてませんが…頑張ってください！応援してます！ (2023年3月1日 15時) (
レス) @page7 id: 299e20c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - あんちょろさん» コメントありがとうございます！遅いですが夜勤頑張ってください！夜更新が多いので気長に待っていただければ…送別会は割と力入れるので楽しみにしていてください！ (2022年10月22日 9時) (レス) id: f1de8a3da7 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - ききぽんぬさん» コメントありがとうございます！読んでいただいて光栄です！お気に入り登録もありがとうございます😭更新頑張ります！ (2022年10月22日 9時) (レス) id: f1de8a3da7 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 夜勤なうなのにもう送別会編が気になって眠れません（夜勤だから寝るな！） (2022年10月21日 23時) (レス) @page45 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ききぽんぬ(プロフ) - はじめまして、こんにちは！昨日、この作品と出会ってめちゃくちゃおもしろくてあっという間に全て読みました！続編が出来るということでとても嬉しく思います(*´﹀`*)嬉しいお知らせが届くのを楽しみにお気に入り登録させていただきました。これからも応援してます！ (2022年10月21日 11時) (レス) @page43 id: 79ed02044f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2022年10月5日 21時
