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「おい」
『……』
「顔上げろ」
『いやです』
「おい」
『………』
髪がカーテンのようになっており表情が一切見えない。
声が震えているのだけは分かる。
ローはスッとAの髪に手を伸ばし、耳にかけた、
もう顔を隠す意味がなくなってしまった。
見えてしまっているのだから。
そっと顔を上げると、ローは笑ったりせず深い面持ちで見つめていた。
再び目の奥をじんと熱くさせられ泣き出しそうになる。
「A屋」
胸がきゅんとしてくすぐったくなった。
ローに名前を呼ばれるのは初めてだった。
名前を呼ばれ、もう顔を完全に上げてしまう。
ちょろいななんて思いつつも上げられずにはいられなかった。
「おれは、梅干しは嫌いだ」
『はい…』
「パンも嫌いだ」
『…はい…？…』
「分かったなら次回からはするなよ」
『……ッ…え？』
今、次回という言葉が聞こえた気がした。
次回、それが空耳ではないのなら___
『ま、また作って良いってことですか？』
「そう言ってるだろ」
涙が込み上げた。
いきなり、横にいるローの姿が滲んだ。
自分の目から涙が溢れていることに気がついて、手のひらで拭う。だが溢れるばかりで止まる気配がない。
詰まった鼻をすすりながら、
『…ッ……ごめんなさっ…』
目に生地の感触がした。
ローが白衣の袖で涙を拭ってくれていた。
思わず笑ってしまう。
『せんせー、そこはハンカチですよ』
「持ち合わせてねェ」
なら代わりに。とバサッと頭に何かが乗った。
頭に何かの感覚を感じ、触る。
『え…』
頭にあったものはローの帽子だった。
ローは黙ってAの太ももにある弁当箱を自分の太ももへと乗せて、箸を受け取り食べ始める。
見ていられなくてAはローの真似をするように帽子を深く被った。
微かに薬品の匂いと柔軟剤の匂いがした。
ローの優しさにこれはただの生徒への思いやりで、特別なものでもなんでないと思うとますます涙が溢れた。
でも今日くらいは期待させて欲しい。
今日くらいは。
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はるさめ(プロフ) - あの、最初の6~7ページかが名前になってて設定した名前に変換されてません。そしてこの作品凄く面白いですね！まだまだ最初部分しか見れてませんが…頑張ってください！応援してます！ (2023年3月1日 15時) (
レス) @page7 id: 299e20c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - あんちょろさん» コメントありがとうございます！遅いですが夜勤頑張ってください！夜更新が多いので気長に待っていただければ…送別会は割と力入れるので楽しみにしていてください！ (2022年10月22日 9時) (レス) id: f1de8a3da7 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - ききぽんぬさん» コメントありがとうございます！読んでいただいて光栄です！お気に入り登録もありがとうございます😭更新頑張ります！ (2022年10月22日 9時) (レス) id: f1de8a3da7 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 夜勤なうなのにもう送別会編が気になって眠れません（夜勤だから寝るな！） (2022年10月21日 23時) (レス) @page45 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ききぽんぬ(プロフ) - はじめまして、こんにちは！昨日、この作品と出会ってめちゃくちゃおもしろくてあっという間に全て読みました！続編が出来るということでとても嬉しく思います(*´﹀`*)嬉しいお知らせが届くのを楽しみにお気に入り登録させていただきました。これからも応援してます！ (2022年10月21日 11時) (レス) @page43 id: 79ed02044f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2022年10月5日 21時
