□正体 ページ42
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『大変だったんだから！！』
「それ、聞くの10回目です」
放課後の図書室。
昨日は予餞会が終わった後さっさと帰ってしまったのでようやく爆豪にあの時の状況を伝えている___と言ったところだ。
10回目なのだが。
『他人事だと思って…』
「しっかり助けたじゃないっすか」
本棚に返却された本を片付ける作業を爆豪も手伝わされており、爆豪が本を渡して、Aがしまう。
受け取った本をしまいながら、Aは言う。
『まぁ…そうなんだけど…てかあれ助けたうちに入るの？』
「俺があんなことしてなかったらセンパイ間違いなく笑いモンすよ？」
『じゃあ、ありがとね』
丸め込まれた気もするが、爆豪の話はあながち間違えていないので、お礼を言った。
「センパイ」
爆豪がいつもよりも温かめの声で言った。
普段はなかなか聞かない声にAは図らずも本をしまう途中で振り向いた。
「よく、できました」
子供をあやすようにわしわしと頭を撫でられた。
ドラマのワンシーンのように窓から陽が差し込む。
春にも満たない夕陽の光。
まるっきり放心状態になるA。
はっとなり、
『何すんの！？』
すぐさま離れて、自分の頭を両手で押さえる。
「だって、褒められたかったんすよね？」
『なっ、』
確かに褒められたかったが、まさか後輩に1番最初に褒められることになるとは。
見透かされた気がして、羞恥心が増す。
「顔赤いっすよ？」
『あっ……赤くない！！赤くない！！』
「セーンパイ？」
意地の悪い笑みで爆豪がからかった。
と、爆豪が話題を変えた。
「そんなに欲しいならあげましょうか？」
『え？』
「ゴホービ」
爆豪が白い歯をこぼした。
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作者名：おにぎり同好会委員長。
| 作成日時：2021年12月27日 17時
