【降谷 零】フタリノカタチ

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帰ってから私たちは、いくつかの約束を交わした。


1.敬語は使わないこと。お互いを名前で呼ぶこと。
2.困ったことがあれば、お互いに話し合うこと。
3.極力隠し事はしないでいること。


隠し事はしない、なんて、絶対無理だ…と思ったけれど、“兄”はまだ家にも私にも慣れていないんだと思うと、強いことは言えなかった。


「あの…部屋のことなんですけど」


咄嗟に敬語で話しかけた私に、悲しそうに眉を下げる零。


「もう敬語使ってる…」


「あ、ごめんなさい、…っと、ごめんね。部屋なんだけど、今日は私の部屋で良いかな？私はリビングで寝るから。ベットが届いてなくって」


「それだと、Aが辛いでしょ。良いよ、僕がリビングで」


「ええ…でも…」


「良いの、妹なんだから遠慮しないで。ね？ほら、宿題するんでしょ。…あ。出来れば、時間あるときで良いから学校のこと教えてもらって良い？」


「学校のこと？」


「聞いてないんだね。僕、1年留年してるからさ。新学期から、Aと同じクラスに転入するらしいんだよね」


…っ、ええ？学校まで一緒なの？


素直に驚きが顔に現れていたのか、零は苦笑する。


「そりゃ、びっくりするよね。僕がAでもびっくりすると思うよ。迷惑はかけないように頑張るから。…ごめんね、注目されるネタ作っちゃって」


迷惑とか、迷惑じゃないとか。
そんなでもないのになあ。

私は何とも言えない気持ちで視線を彷徨わせ、最終的には小さく頷いた。

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