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優しい表情で誰かを思い浮かべているジョングク先生。
ジョングク先生には、私の知らない過去があって、私の知らない思い出があって、私の知らない面がたくさんあるのだろう。
まだ会って間もないし、先生と生徒という関係だ。
知らないことがたくさんあって当たり前なんだけど、その当たり前がなんだか寂しい。
『高校生のジョングク先生に会ってみたかったです。』
JK「会わない方がいいよ。」
『凄い生意気な高校生だったんでしょうね。』
JK「生意気な高校生に言われたくないね。」
途中から、雑談だけでは飽きたようで、私のノート・・・といっても、ジョングク先生が用意してくれたのだけど、そのノートの端に、何やら絵を描いている。
『うさぎ?』
JK「そ。上手でしょ。」
自慢気に笑うジョングク先生。
最初の頃に比べ、先生が笑うことが増えた。
とても、よく笑う。
そんな彼の笑顔を見るのがとても好きだ。
JK「そんな、キム・Aは、彼氏とかいないの?」
『いないですよ。』
JK「どれくらいいないの?」
『どれくらいって・・・生まれてから?』
もしかしたら、前世ではいたかもしれない。
ジョングク先生はふっと笑う。
JK「彼氏できたことないの!?
こんなに、面白いのに。」
『面白さで彼氏できるのですか。』
何か、だんだん胸の中がモヤモヤしてきた。
今まで好きな人自体いなかったら、経験したことない感情なんだけど、好きな人にそういう話を聞かれるのは、なんか、嫌だ。
私は先生が好きなのに、先生が私をそういう対象として見ていないことが、はっきりと分かってしまう。
いや、分かりきっていたことだけれど。
JK「キム・Aにも、彼氏ができたらいいね。」
無邪気に笑って、私の心にチクチクと棘を刺さないで欲しい。
『そうですね。出来たら良いですよね。
もし出来たら、個人授業なんて、している暇無くなるかもしれません。』
つい、口が暴走してしまう。
JK「なんで怒ってるの?」
本当に、なんで怒ってるのでしょうね。
私にも分かりません。
ジョングク先生は首を傾げながら、先程閉じた教科書を開く。
そして、開きながら呟く。
JK「キム・Aに彼氏ができたって、この個人授業は辞めないけど。
彼氏ができることと追試者が出るのは話が違う。」
口先を尖らせ、少し拗ねたように言うジョングク先生。
何だこの人、可愛いな。
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タハ - 6周目突入!!いや〜なんでですかね?自然と何か「ジョングク先生」で検索してるんですよね... これほど惹かれた作品は初めてです!こんな素敵なお話に出会えて良かったです。出会わせてくれてありがとうございます (2021年4月18日 20時) (レス) id: ee578eb3c2 (このIDを非表示/違反報告)
タハ - 3周目来ちゃいましたw やっぱりまゆうさんの作品はどれだけ読んでも飽きませんね!!私文才がないので(どんな才能もありませんが)、尊敬です! (2020年11月8日 17時) (レス) id: ee578eb3c2 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - どうしたの、オレンジ。は可愛い、笑 (2020年8月9日 11時) (レス) id: ca2700ca3f (このIDを非表示/違反報告)
タハ - 『ごめん、ありがとう、愛してる。』とつながっていてびっくりしました!!(*^^*) 読んだことないのに、なんか聞いたことがある気がして、繋がっていると知ったときとても驚きました(//ω//) これからも更新頑張ってください!!\(^∀^)/ (2020年5月21日 8時) (レス) id: ee578eb3c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅにむ - すごいですね!一つずつにストーリーがあってリンクしてることは予想していましたがやっぱそうなんですか?!ヤァーーー!面白い!何かこう他の話とリンクしてる話好きなんですよ!ありがとうございます!これからも応援してます!頑張ってください! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 6734aceaf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まゆう | 作成日時:2020年1月8日 22時