重岡大毅 ＊ SCARS 2

06. 二本の意味 ページ6

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新婚さんの家にお邪魔するのも



少々気が引けるけど



ネイルが得意な奈美に頼みたかった







ケーキを持ってきた私に



満足気な顔をして



ケースからマニキュアを出す








奈「どんな服着て行くの？」





A「赤のニットに


黒い膝上のタイトスカートかな」





奈「しげ色 取り入れるあたり


あんたもなかなか可愛いわね(笑)」







私の魂胆をすぐさま理解する



ジャス民 兼 親友の彼女は




ニヤニヤ笑いながらも



丁寧に仕上げてくれる









出来た、と満足そうな奈美のネイルは




相変わらず綺麗だった






基本はゴールドで塗られていて



右手の中指と 左手の人差し指だけは



真っ赤なマニキュアで、光沢を放っている








A「なにこの意味ありげな塗り方(笑)」





茶化したように聞く私に



ふわって微笑む奈美は



結婚して、ますます綺麗になったと思う









「右手の中指はね、嫌なことから


身を守ってくれるんだって。


彼女のこと、あんた心配してるから。


守ってあげなさいって思って(笑)」








優しく笑っている親友は



どこまでも私を想ってくれていた









彼女からの不器用すぎる愛情に



目頭が熱くなるのに気付かないフリをして



じゃあ左手は？、と聞いた







「左手の人差し指はね


迷いが消えて、積極的になる って意味。


せっかく久々に会えるんだから


思いっきり騒いで、


見つけてもらいなさい(笑)」







左手の人差し指は



奈美からのエールだった









重岡さんと私を応援してくれる



彼女からのメッセージ







ありがとう、と呟いた声は



涙で震えたけれど




何も言わずにケーキを食べる奈美に



心から感謝した




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