【HQ】恋に泣くなら君がいい【宮侑】 (ページ13)

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「なあ、どこか出掛けたいとことか無いんか」

「え、急にどうしたの」

ちょうど捲ろうとしていたバレー雑誌の手を止めてこちらを見た

この部屋には年頃の女が楽しめるような物は何も無い

あるのは最低限の生活用品と、バレー関連の物だけ

つまらなくないのかと聞くと、別に、と返されるのがいつものことだった

「今週の日曜空いてるから、なんか行きたいとこあるんなら連れてってやれるで」

「いいの、せっかくだし休めば」

「たまには気分転換も大事やからなー」

半分本当で、半分嘘

出掛けないなら出掛けないでゆったり過ごしてもよかった

でもそれではAが退屈じゃないだろうかと変に気を回す自分がいる

ここに来てからあまり外出と呼べる物もしていないようだし

「じゃあ⋯⋯これ」

そう言って見せてきたのは近場にあるカフェの写真

「ここ、二人で行きたい」

ほお、甘い物が好きなのか

視線の意味を察知したらしく怪訝そうに眉を顰めた

「別に甘い物が嫌いならいいよ。いつか一人で行く」

「そんなこと言っとらんやん。ええよ、行こ」

「無理してない？」

「甘いもん好きやし」

半ば焦りながら

自分でもどうしてこんなに必死なのだろうと思う

「じゃあ、日曜日ね」

緩く弧を描く唇を見て、誘ってよかったと数分前の自分の勇気を褒め讃えた