赤司家の日常 (ページ10)

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10日目ページ10

お昼ということで降旗は食堂で昼食を食べていた。

そんな時前から声が聞こえた。

「前に座っても良いか？」

「あっ、はい。大丈夫ですぅぅ？？？って部長！」

まさか聞いてきたのがあの赤司征十郎だと思わなかった降旗は相当びっくりした。

「なんだ、そんなに驚いて。いつも会っているじゃないか」

「そうですけど、でもなんていうか...その滅多に会話しないのでびっくりしました」

「そうか、まぁいい」

そう言い赤司は弁当を食べ始めた。

「さすが僕の妻だな。何を作っても美味しい」

昼食を食べていると急に惚気を言い始めた赤司。

実のところ赤司は会社一の愛妻家であった。

「あの、部長はいつも奥さんからの手作り弁当なんですか？」

「ああ、毎日朝早くから作ってくれているんだ」

毎日とか凄いな、部長の奥さん。

「弁当、美味しそうですね」

そう感想を言うと赤司から威圧的なオーラが出始めた。

なにか悪いこと言ったかな？

それにしてもこれ結構やばい感じじゃない？

そう思っていると、赤司が話しかけてきた。

「降旗、まさか俺の弁当を食べたいと思っているのか？」

「はい？」

「残念だがあげるわけにはいかない。俺の妻の料理を食べていいのは俺だけだからな」

赤司は降旗が自分の弁当を食べたいのだと勘違いしていることに気が付いた。

早く誤解と解かなければ午後からヤバイ気がする。

「違います、違います。僕もうお腹いっぱいですし、それに先ほど僕が言ったのは

　部長の奥さんの料理がとても美味しそうだなと思っただけでわざわざ部長のために

　作られた弁当を僕が貰おうなんてとてもおこがましいこと考えておりません」

「そうか」

そう言うとだんだん赤司から恐ろしいオーラが消えていった。

「それじゃ、俺は失礼するよ」

「あっ、はい。午後もよろしくお願いします」

奥さんへの愛が止まらない赤司だが、降旗はそういう赤司を尊敬しているである。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「降旗、お前凄いな。あの赤司部長と会話出来るなんて。俺なんて話かけられたら

　相槌を打つので精一杯だぞ」

赤司が食堂を去った後、同期に話しかけられた。

「そんなことないよ。相当緊張してたんだから」

そう実のところ降旗は過呼吸になるレベルで緊張していた。

それが表に出なかっただけだ。

その後、降旗は午前作り途中だった資料を完成させ、今日会ったことを妻に話した。