５人と私の奇妙な関係(Retry)

ドッキリ~翔~ ページ32

そっからはなに聞いても「無駄だから」しか言ってくんなくて、



全く質問に答えてくれようとしなかった。



だから、俺は自分の考えをひたすら述べた。



しばらくして俺の心だけが丸裸になるが、社長は本心を鎧で隠したまま全く見せてくれないんだ。



もう闘える術がない…。



そう思った俺はただただ項垂れるしかできなかった。



でもこのまま帰るわけにはいかない。



沈黙のまま、お互いただビールを飲んだ。






そんな俺に同情したのか、



社長「櫻井はさ、この店きたときどう思った？」



そんな言葉を投げ掛けてきた。




翔「正直、大騒ぎになってしまう…と」



社長「現にどうだい？」



翔「…全く」



個室で周りから見れないのもあって、



お店の迷惑になってしまうような騒ぎが起こる気配は全然ない。






社長「警戒するのは大事だ。



特にyouたちはちょっとした行動が世間を大騒ぎさせてしまうからね。」





…それは、重々承知しているつもりだ。







社長「じゃあ、なんで僕はあの子を嵐の何でも屋として雇ったと思う？」




翔「…Aちゃんが住む場所もなく、職もなくなって困っていたから？」



社長「ハズレ。


それもなくはないけど、それなら僕はかなりの数の日本国民を雇わなくてはならなくなってしまうよ」




それもそうだ。




要するに、この店に入ったこととAちゃんを雇った理由、


この答えが、社長が俺らに伝えたいことなんだろう。






翔「…初心に返る？」



社長「そう。天狗になるなってこと」



翔「なってない『youたちはさ、当然の顔して僕に交渉してきたんだよ。


断らないだろうって顔。なんで断ってんだよって顔。


そういうの僕、気に入らないな』



そう言って唇を尖らせるジャニーさん。




社長「確かにyouたち嵐はすごいよ。僕の想像…期待以上の活躍だ。


でも、やってもらって当然なんてことはこの世の中ないんだよ。


それを解ってほしかったんだ」



そう言って差し出したのは、リフォーム業者との契約書。


既に捺印済みだ。






そんなおちゃめで、壮大なドッキリを仕掛ける社長。



この人には一生頭あがんねぇなって思ったんだ。

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