５人と私の奇妙な関係(Retry)

心臓 ページ29

みんな暗い顔をしたまま、１日が終わった。



「社長を説き伏せるなにか」をキーワードに話し合ったり独り言を言ったりして、



せっかくうまくいったふわふわのオムライスも上の空で完食されちゃった。



…作ったの食べてもらえるだけでも幸せなんだけどね。






夜もワイワイするわけでもなく各自喉の渇きを潤すためだけみたいにビールを飲んで。



10時過ぎにはみんなバラバラとベッドに入っちゃった。



なんか、寂しいな。



贅沢なのは分かってるんだけど、



なんでみんなで住むのかも聞いてないし。



いや、住みたいよ。



住みたいんだけど、



理由がわからないことには、私には説得する理由を考える余地もないんだなって。



…仲間外れでいじけてるだけ。



わかってるよ、自分でも。







0時回ったけど翔ちゃん帰ってこないし、



寝ようかなってベッド入ったけど全然寝付けない。






潤くんの寝息だけが聞こえる静まった部屋にカチャって鍵が開く音が響いて、



私は寝室を飛び出した。




翔「ただいまー！」



A「おかえりなさい。ご飯は？」



翔「ごめん、食べてきちゃった…」



だよね。こんな時間だもん。



翔「みんなは？」



A「潤くんは寝てます。



他のみんなも寝室に入って３時間くらい経つからきっと寝てると思います」




翔「じゃあAちゃん一人で起きて待っててくれたの？」



正面からぎゅうって、抱き締められる。






A「え？ちょっ…あれ？酒くさっ」



翔「お酒飲んだもん」



言い方が可愛くて、ふふって笑いが込み上げる。



翔「なんで笑うんだよ。俺、すっげー偉業を成し遂げてきたんだよ？」



A「なにをですか？」



翔「ふふん♪ここじゃなんだからリビングで」





腕をひかれて、リビングに行く。



そのまま翔ちゃんがソファーに座り、



腰を抱き締められ膝の間に座るよう促され



翔ちゃんを背凭れにするように座った。





A「あの…？」



翔「照れてんの？」



A「…はい」



さっきから、私の心臓は飛び出そうなほど高鳴っている。



翔「俺も…」



背中に響く心臓の音は、



自分のなんだか翔ちゃんのなんだかわからないけどドクドクしていて。



そのリズムが合わさって、なんだか更に気恥ずかしくなった。

偉業~翔~→←交渉~潤~

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